カジノ誘致をめざす動きが各地で活発化している。東京都、大阪府、北海道、長崎県などと並んで、誘致に前向きなのが沖縄県である。

 「コンセンサスを得てから手を挙げるというのは、一見、もっともらしいが、そんなことをしたら、とても競争の世界ではやっていけない」

 カジノを含む統合型リゾート(IR)の導入について、仲井真弘多知事は今年3月の県議会予算特別委員会で、県民の合意形成よりも誘致に名乗りを上げるのが先、だとの見解を示した。

 本年度中に基本構想を作成するという。まるで「バスに乗り遅れるな」と、ハッパを掛けているかのようだ。

 カジノの合法化をめざす超党派の「国際観光産業振興議員連盟(IR議連)」は昨年12月、IR推進法案(カジノ法案)を議員立法で国会に提出した。IR議連は今国会での成立をめざしている。

 これまで何度も浮かんでは消えたカジノ解禁がここに来て現実味を帯びてきたのである。仲井真知事の議会答弁は、そのような動きを踏まえたものである。

 知事の指摘は一見、もっともらしいが、誘致を前提にした前のめりの姿勢が目立ち、カジノの負の側面への目配りが感じられない。

 カジノ誘致については経済界の中にも消極的な意見があり、県民世論は大きく割れている。知事の独断・独走は許されない。

 導入の良い点、悪い点を冷静に幅広く議論することが前提でなければならないが、議論はまだ不十分だ。

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 統合型リゾートは、ホテルやショッピングモール、レストランなどを兼ね備えた複合施設のことで、海外の先行例を見ると、施設全体の収入の大半はカジノの売り上げになっている。

 カジノを単独で開設するのではなく、住民に受け入れられやすいように複合施設として整備し、「観光」「雇用」「財政」へのプラス効果を前面に打ち出しているのがIR推進法案の特徴である。

 最近になって、普天間飛行場や牧港補給基地など基地返還予定地へのカジノ誘致の動きが、虚実ないまぜになって飛びかっている。

 カジノ誘致に伴う「経済・雇用効果」を一般論として語るのではなく、誰にとっての、どのような効果なのか、を具体的に論じる必要がある。

 カジノにつきものの「ギャンブル依存症の発生」や「治安の悪化」は、日本流の対策を講じたとしても、これを避けることはできないだろう。

先行例が示す通りだ。

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 沖縄には、経済振興と並行して克服しなければならない社会問題が多い。「子どもの学力」「子どもの貧困」「子どもの夜遊び」「離婚率」「所得格差」「消費者金融利用」などがそうだ。

 復帰後の振興策は、社会資本の整備に重点が置かれ、これらの問題への取り組みが極めて弱かった。カジノ誘致は果たして、これらの問題解決に役立つのか、それとも格差を広げ、イメージを悪化させるだけなのか。冷静で、多面的な検討が欠かせない。