与那国町への陸上自衛隊沿岸監視部隊の配備計画を進める防衛省が、駐屯予定地の町有地を3月末で賃貸借契約解除した「農業生産法人南牧場」への損失補償額を当初提示した1億1千万円から積み増し、約3カ月後に2億4千万円で合意していたことが14日、分かった。昨年11月下旬の最初の提示から今年2月下旬の妥結までの交渉で、補償額は2倍以上に膨らんだ。

与那国町の陸自沿岸監視部隊施設計画

 2015年度末までの部隊配備を目指す防衛省は、補償額に難色を示す牧場側との交渉の長期化を避け、計画通りの配備を最優先にしたとみられる。

 赤嶺政賢衆院議員(共産)が入手した関係資料によると、防衛省は駐屯地とグラウンド両地区の土地、牛舎・倉庫、フェンス、樹木、牧草・芝などの損失補償額を算定。昨年11月末に1億1千万円を提示したが、牧場側は拒否した。

 同省は12月5日、算定の基準となる補償対象の枠を拡大。樹木の項目で「ビロウ」の本数を42本から170本へ増やし、芝の面積を約3800平方メートル追加。補償額1億4200万円を再び提示したが牧場側は承諾しなかった。

 同月29日、生コンクリートなどの単価見直しや敷地造成費を新たに項目追加するなどして積み増し、2億1400万円を示したが、牧場側は重ねて拒否。その後、駐屯予定地の隣接地で、外部からの出入りが不可能になると牧場側が訴える場所に生える樹木も算定基準に加えて約2600万円増額。2億4千万円を提示し、翌14年2月21日に合意に達した。

 牧場関係者の一人は「交渉過程が不透明だ。基準が分からないまま補償額がつり上げられている」と指摘。赤嶺氏は「国民の税金がそんなふうに使われていいのか」と批判した。