元南部福祉保健所職員で臨床検査技師、平良恵貴さん(69)に10年ぶりに再会、DVDを託された。タイトルは「フィラリア病との闘い」。在京のテレビ局が撮ったドキュメンタリー番組で、防圧運動を伝える貴重な記録だ

 ▼蚊を媒介にしたフィラリアは三大風土病の一つ。足が腫れ上がる象皮病や陰のうが巨大化する陰のう水腫などを引き起こす

 ▼防圧運動は1965年1月に宮古島で始まった。平良さんは20歳で防圧本部の臨時職員に採用され、採血や検査にかかわった

 ▼夜間に活動するフィラリアの仔虫(しちゅう)の不思議な習性のため、夜に採血した。仔虫の保有者に6日連続で投薬し、駆除した。番組は人集めのために上映された

 ▼「一人も残さず」と呼び掛けた運動はほぼ100%の受診率を生み出し、宮古での根絶に成功。八重山や沖縄本島で実施し、88年に全県で根絶が宣言された。「防圧の歴史を後世に伝えたい」と平良さん。「みんなが燃えた島ぐるみの運動は長寿復活の取り組みのヒントになる」と語った

 ▼風土病の根絶なくして、観光の発展もなかっただろう。医師不足を補った医介輔や辺地や離島で活躍した公衆衛生看護婦、多くの医師を育てた県立中部病院の研修制度-。長寿県は天与の物ではなく、公衆衛生や医療などに取り組んだ人々によって築かれたことを忘れてはいけない。(与那原良彦)