一歩間違えれば大惨事を引き起こしかねない。人的・物的被害が出なかったのは、不幸中の幸いで、たまたまにすぎない。看過できない事故であり、米軍は危険な物資投下訓練をやめるべきである。

 米軍伊江島補助飛行場で17日午後9時すぎ、米軍機によるパラシュート物資投下訓練で、ドラム缶4本が同飛行場のフェンスから約1キロ離れた地点に落ちた。

 近くには、生活のための道路が走り、葉タバコ畑が広がる。約500メートル先には民家がある。伊江島補助飛行場の運用をサポートする「伊江島運用支援分遣隊」を移設するための工事も行われている。

 在沖米海兵隊によると、水が詰め込まれたドラム缶1本は約200キロ、ドラム缶4本を束にしていたというから、計800キロになる計算だ。

 これが空から降ってきたのである。民間地であればひとたまりもない。住民らが「当たれば即死」と生命の危険を訴えるのは当然である。

 海兵隊が「意図していた領域の外に落下した」とだけ説明していることには、とうてい納得できない。

 なぜ、フェンスの外から1キロも離れた地点に落下するような事故が起きたのか。通常では考えられない。

 村は訓練の危険性を指摘し、中止を強く求めている。今回の事故は村の懸念が現実のものになったととらえるべきで海兵隊は何が起きたのか、説明しなければならない。なし崩し的に訓練を再開することがあってはならない。

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 伊江島補助飛行場では昨年からことしにかけて立て続けに事故が起きている。

 3月には米兵1人のメーンパラシュートが開かなくなったため、切り離しフェンスの外の牧草地に落下させた。1月には米兵2人がフェンス外の牧草地や葉タバコ畑に着地。昨年5月には米兵1人がフェンス外から約80メートル離れた民間地に降りている。

 パラシュート降下訓練は1996年の日米特別行動委員会(SACO)合意によって読谷補助飛行場から伊江島補助飛行場に移転された。移転したのは、読谷補助飛行場では訓練場の外に落下する事故が相次いだからである。

 普天間飛行場に配備されたオスプレイによるパラシュート降下訓練も行われている。伊江島補助飛行場で事故が連続していることは、生活圏に近く訓練地として適さないということを何よりも証明しているのではないか。

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 伊江村では2002年10月に米軍輸送機から約75キロのポリタンクと閉じたままのパラシュートが民間地に落下した事故が起きた。約50メートル離れて女性が農作業をしていた。

 村と県は米軍に抗議、米軍は飛行コースと投下地点を海側に変更し、民間上空を飛ばない-など5項目の再発防止策を示した。夜間訓練では物資に明かりをつけ、監視員に暗視ゴーグルを装着させる-との項目もある。今回の事故は、この再発防止策を順守していたのかどうか。

 政府は米軍の訓練にはノータッチだ。だが、事は住民の生命に関わる。政府は真剣に米軍と向き合うべきである。