【与那国】「大臣は帰れ」。汗だくの警察官に取り囲まれる中、不満を募らせた与那国島の住民が小野寺五典防衛相が乗った車両に迫った。19日の自衛隊沿岸監視部隊の起工式は、反対派住民が会場入り口を取り囲む異様な雰囲気の中で行われた。「配備反対」の声は約30分の式典中、会場に鳴り響いた。「まちづくりの起爆剤」として町が誘致した自衛隊基地の建設は混乱の中、スタートした。

小野寺防衛相らが乗った車両に立ちふさがろうとして、警察官に取り押さえられる住民ら=19日午後、与那国町比川集落(新崎哲史撮影)

 起工式は午後3時半に開始予定だったが、住民ら約70人が抗議の意思を示そうと通行車両に近づき、警察官の制止を受けるなど、現場の混乱が続いた。

 小野寺防衛相が乗った車両が会場に現れたのは3時55分。「帰れ」「説明が足りない」と怒声が浴びせられる中、関係者が足早に建物に入っていった。

 「建設反対」の声が上がる一方、道路を通行する車両からは若い男性が「建設賛成」と大声を上げるなど、島の声は真っ二つに割れた。

 島出身の女性(76)は親族に2人の自衛官がいる。「自衛隊が嫌いではない。豊かな自然と穏やかな人が暮らす与那国に基地は合わない」と声を落とした。

 島を気に入り3年前に移住した小林光代さん(65)は「当初説明より規模も大きくなり、部隊の中身が見えない。島が好きな人も寄りつかなくなっていて、何もできないと思うと悔しい」と涙を流した。

 反対派の行動について起工式後、小野寺防衛相は「町長は『島の人はほとんどいない』と言っていた。島外から来られたのでしょう」と発言。

 抗議集会を呼び掛けた「与那国改革会議」の崎原正吉議長は「みんな町民だ。不安を訴えているのに、ばかげたうそでごまかそうとしている」と顔を紅潮させた。

 外間守吉町長は、自衛隊基地が復帰後初めて県内に建設されることについて、「沖縄も日本の一部で当然、自衛隊基地があってもおかしくない。たまたま与那国でつくられただけだ」と淡々と述べていた。