今回の沖縄市長選は市政のかじ取り役を選択すると同時に、各党が11月予定の知事選の試金石として位置づけた。桑江朝千夫氏を擁立した自民党にとっては、1月の名護市長選で普天間飛行場の辺野古反対を理由に自主投票とした公明党との協力関係の再構築を目指す選挙で勝利し、自公体制での知事選に展望を開いた。

 沖縄市では、普天間問題は別との共通認識のもと、公明は県本部の金城勉幹事長が選対責任者を務め、首長選では異例となる前党首の太田昭宏国土交通相も来県する本気度を示した。  「国政選挙並み」を掲げた自民は石破茂幹事長や小泉進次郎衆院議員ら党本部の有力政治家が応援に入り、国政同様に沖縄でも自公協力が健在であることを演出した。

 ただ、秋の知事選は普天間問題をめぐる「県民投票」的な側面もあり、県外を堅持する公明の対応は流動的だ。一方で、自公に加え、中盤で桑江氏を支持したそうぞう・維新、民主による知事選に新たな枠組みでの勢力誕生の兆しも出てきた。

 一方、島袋芳敬氏を支えた県政野党の社民・共産・社大・生活・県議会会派「県民ネット」は革新共闘の枠組みに中道・保守を加えた「オール沖縄」で臨む知事選に課題を残した。

 各党による合同選対と保守系支持者の市民の会が連携する態勢は知事選のひな型となりそうだが、知事選での最大争点化を狙う普天間問題は市長選で結果的に主要争点として浸透しなかった。

 知事選に向け、辺野古に反対する保守層から支持を得るための候補者選考作業の加速と同時に、有権者への政策アピールの手法などの改善が急務となる。

(政経部・銘苅一哲)