【東京】政府がサンフランシスコ講和条約発効日を「主権回復の日」として初めて政府主催の式典を開催してから、28日で1年がたつ。本土にとっては施政権を取り戻した側面がある一方、沖縄は本土から切り離され、米施政権下に置かれた「屈辱の日」。選挙公約に掲げた式典開催を実行した自民党政権だが、沖縄や奄美、小笠原諸島への配慮に欠けた対応に批判は大きく、今年は開催しないことを早々と決めた。

「主権回復・国際社会復帰を記念する式典」で、万歳する出席者ら。左端は安倍首相=2013年4月28日、憲政記念館

 安倍晋三首相が式典開催の検討を初めて明らかにしたのは、昨年3月の衆院予算委員会。「主権を失っていた7年間の占領期間があったことを知らない若い人が増えている。日本の独立を認識する節目の日だ」と強調したが、沖縄や奄美、小笠原諸島への言及は一切なかった。

 第2次安倍政権発足後、式典開催の提案が自民党内から持ち上がった際、県関係国会議員からは沖縄などの立場を考え、慎重な判断を指摘する声が上がったが、公約通りの開催が決まった。

 政府は式典開催を閣議決定したが、仲井真弘多知事は「自らのことを考えたら、政府が言う記念的な行事にはなりにくい」などと疑問視。当日の式典には高良倉吉副知事が代理出席した。全国会議員への案内があったが、沖縄関係は自民党の5氏が出席した。

 式典開催には県内外から批判が相次いだ。当日の首相の式辞には「沖縄の辛苦にただ深く思いを寄せる努力をなすべきだ」と盛り込み、配慮を見せた。

 菅義偉官房長官は今年2月の記者会見で「今後の開催は、その時々の諸条件を見ながら節目節目に行う」と、今年は式典を開催しない理由を説明した。

 政府関係者は、「沖縄のことなど深く考えずに開催を決めた後、想定外に厳しい批判が起きて、焦ったのだろう」と、今年の開催を見送った判断に、沖縄との摩擦を避けたい考えもあると説明する。