海面まで75メートル、墜落するまでの時間は20秒-。28日正午ごろ、格安航空会社(LCC)ピーチ・アビエーションの航空機が到着するはずの那覇空港の手前7キロの地点で、あわや墜落するところだった。59人の乗客・乗員の命につながる重大なミスはなぜ起きたのか。ピーチ社の乗客は不安を募らせ、県内の観光関係者にも衝撃が走った。

 ピーチ・アビエーション機が那覇空港到着前に異常降下したトラブルは、一歩間違えれば海面に激突しかねなかった。航空専門家は、操縦室のコミュニケーション不足や視界の悪さを指摘する。

 一般的にジェット機が着陸する際の降下率は、1分間で約210メートル。地上接近警報装置(GPWS)の鳴動に気付き回避操作を取ったが、海上約75メートルまで降下したピーチ機は、あと約20秒で海面に衝突する恐れがあった。

 なぜ異常降下したのか。元日航機長の小林宏之さんは「空港を目視できていれば、降下開始が早過ぎると気付いたはず。雨で視界が相当悪かったのだろう」と推測する。

 だが、パイロットは空港への進入方法を記載した図面を携え、計器で機体の位置も把握できる。「機長と副操縦士の間で、着陸に向けた確認作業が不足していたのではないか」と語る。

 同様のトラブルは、2010年10月に中部発の全日空機が旭川空港に向けて降下中に、管制官が指示を誤り、山に異常接近した。11年6月には、奥尻空港で北海道エアシステム機が着陸をやり直したところ、地上約30メートルまで急降下した。いずれも、GPWSが作動して、墜落は回避された。

 一方、ピーチ社は24日、病欠が相次ぎ機長を確保できず、5月以降に2千便以上が欠航する恐れがあると発表していた。小林さんは「パイロット不足が、今回のトラブルと関連しているのかは分からない」と話した。