政府が名護市辺野古に新基地建設準備を着々と進めている今、沖縄はどのような岐路に立っているのか。オーストラリア国立大学名誉教授のガバン・マコーマック氏に聞いた。(平安名純代・米国特約記者)

ガバン・マコーマック氏

 「米国防総省は在沖米海兵隊を引き揚げる用意があるなどという話も聞くが、日本政府は莫大(ばくだい)な補助金を出し続けて厚遇してくれるし、アジア最高の軍事基地を造ってくれる。沖縄が特別魅力的なのは当然だ」

 マコーマック氏は、「米国の実質失業率は37・2%という分析もある」と具体的な数字を挙げた上で「米国内の健全な経済を破壊しても、あちこちの戦争へ派兵し、大規模な演習や戦争の訓練、準備に莫大なお金を使う。兵士は除隊後は失業と健康の問題が待っている」と述べ、在沖米軍基地の維持と米失業率との関連性を説く。

 名護市の稲嶺進市長の再選で、地元住民らは辺野古移設計画への反対を明示したものの、米政府は埋め立て承認で「計画は前進している」と表明し、民意を尊重する兆しは見られない。

 「安倍政権が新基地建設へ強硬な態度をとり、暴力的な対立となれば、沖縄の日米両政府や米軍に対する反感がより強まるというシナリオも考えられる。そうなると海兵隊は沖縄では歓迎されない。かつての東ヨーロッパにおけるソビエト軍と同じように、『沖縄占領軍』と見なされるという圧倒的な否定的要素も考慮しなければならない」

 沖縄は今、どのような岐路に立っているのか。マコーマック氏はこう指摘する。

 「東シナ海に有事が起これば、沖縄は『防衛態勢強化』によって、皮肉にも非常に危ない所となる可能性がある。一方で、東アジアの平和構築のイニシアチブを取る場所としても、またとない地の利がある。(中略)ヨーロッパ共同体の行政府としてのルクセンブルクのような、東アジア地域共同体の中心としての沖縄を想像してほしい。アジア経済交易の中心の一つになりうる大きな可能性がある。軍事基地はやはりふさわしくない」

 米国に異を唱えないのは日本だけの特色なのかについては「民主主義を掲げる国であれ、独裁政権であれ、民意を反映しないのはどんな国の政府でもよくあることだ。イラク戦争時、いわゆる『有志連合』の参戦、アフガニスタン派兵もそれぞれの国民の強い反対を押し切り、米国の要求に従うことが優先された。豪と英の属国性は、はっきり表面にでている」と説明する。

 ガバン・マコーマック オーストラリア国立大学名誉教授。1974年ロンドン大学博士号取得。歴史的視点から、日本と東アジアの政治、社会問題を研究。リーズ大学(英)、ラ・トローブ大学(豪)、アデレード大学(豪)、90年からオーストラリア国立大学アジア太平洋研究所教授