名護市辺野古の埋め立て承認後、普天間移設問題はどこへ向かおうとしているのか。日米関係に詳しいニューズレター「ディスパッチ・ジャパン」主宰の米ジャーナリスト、ピーター・エニス氏に聞いた。(平安名純代・米国特約記者)

ピーター・エニス氏

 エニス氏は、「承認は間違いだったと思う。政治的に持続可能ではないからだ」と述べ、仲井真弘多知事の埋め立て承認で「自民党は『沖縄は買収できる』という古い手法を再び駆使している」と指摘する。

 米議会が代替策を提示したにもかかわらず、米政府が耳を傾けないのは「計画に固執する海兵隊の強い意志が働いているから。『滑走路のある新基地が必要』という海兵隊の粘り強い主張に日本政府は挑戦する意欲がない」との見解を示す。

 「米戦略上、北東アジアで重要なのは横須賀と嘉手納。その他の基地はすべて交渉可能だ。沖縄で健全な海兵隊のプレゼンスを維持する方法はたくさんある」「合理的なのは、2500人規模のMAGTF(海兵空陸任務部隊)を残し、残りはカリフォルニアなど米本土に拠点を戻し、ローテーション配備する案。第3海兵遠征軍(3MEF)司令部を(沖縄に)配置する必要はない」

 米側が辺野古移設計画を変更する可能性について「考えられる選択肢は三つ。(1)ホワイトハウスが命令する(2)海兵隊自身が見直す(3)新知事が埋め立て承認を取り消す。確率は50%以下だが、現実的なのは(2)案だろう」と分析。一方で「ペンタゴンは影響力の強大な組織だ。障害を押しのけ目的を達成する」と軍事が優先される現状を説く。

 2022年以降という普天間の返還時期について「実現するとは思わない。国務省は70年代から普天間の返還を検討してきた。すでに50年以上も協議している」と切り捨てた。

 自身は海兵隊に反対の立場ではないが、代替施設の必要性については疑問を呈す。なぜ滑走路が必要なのかを海兵隊は説明したことがないとした上で「辺野古に何らかの施設は建設されるだろう。最終的に駐留するのが海兵隊かどうかは疑問だが」と続けた。

 また「米政府は名護市民の意思を無視するという選択をした。承認の決断を覆すのは困難との前提の下、東京とワシントンはしばらく活気づくだろう」と分析。沖縄が日米両政府に抗議の意思を伝える有効な方法はあるのかとの問いに対し「米政府に忘れられないほどの衝撃を与えたのは1995年の大規模デモ(県民大会)。在日米軍トップの解雇が検討されたほどだ。たとえば今、那覇で10万人規模のデモが行われたらどう影響するか」と述べ、当時の影響力を振り返った。

 ピーター・エニス氏 ニューヨーク在住。1987年から週刊「東洋経済」誌特約ジャーナリスト。97年に日米関係を専門とする週刊誌オリエンタル・エコノミストを創刊し、編集長を務める。米主要紙への寄稿や、大学などでの講演や米議会公聴会での証言などもある。