かつて沖縄移民が降り立ったカンポグランデの旧駅舎隣に公設市場(フェイラ)はある。その入り口には高さ約5メートルの巨大なそばモニュメントが青空をバックにそびえ立っている。

おわん、そば人形、三線ー。アルビーラさんの事務所には毎年のそばフェスティバルのうちなーグッズが並ぶ

フランチャイズ店はカンポグランデ市内のデパートやスーパーに店を構えはじめた

沖縄そばが発展し、カンポグランデの市民食になったSOBAを出す食堂「ソバリア」の看板。浴衣姿や富士山、招き猫など沖縄というより、日本をイメージしたデザインが並ぶ。

おわん、そば人形、三線ー。アルビーラさんの事務所には毎年のそばフェスティバルのうちなーグッズが並ぶ フランチャイズ店はカンポグランデ市内のデパートやスーパーに店を構えはじめた 沖縄そばが発展し、カンポグランデの市民食になったSOBAを出す食堂「ソバリア」の看板。浴衣姿や富士山、招き猫など沖縄というより、日本をイメージしたデザインが並ぶ。

 2006年、カンポグランデ市は、そばを市の無形文化財に認定した。今やそばは、収入源となり、重要な観光資源ともなっている。

 こうした官民挙げての商業化の動きに尽力したのは、ドイツ系のアルビーラ・ソアレスさん(49)だ。場内に店舗を持つ経営者らの選挙で06年、組合長に選出された。市に対して直接意見や交渉ができる立場にある。

 「私を選んだのは日系人だけど、最初はいろいろやることには反対意見もあった」と明かしながらも、「でも、途中からみんなで盛り上げましたよ」と話す。

 無形文化財登録の翌年から年に1度、「そばフェスティバル」を実施し、舞踊や民謡など沖縄文化はもちろん、地元の歌手らが出演、毎年10万人が来場する一大イベントに成長させた。

 現地のリズムに乗せたそばソングをラジオで流したり、そばキャラクターを作ったりとなかなかのアイデアの持ち主だ。「毎年何か新しいことをやるのが目標」という。

 11年から大手業者と提携し、フランチャイズ化も始めた。出資者が日本円で約1500万円を出資すれば、開店までの全てのノウハウを伝える。研修制度も設けており、すでに市内のスーパーマーケットなどに出店、人気を集めている。

 アルビーラさんに今後の計画を聞くと、「そうね…、オキナワにカンポグランデのそばを伝えに行くことかしら」と冗談めかし笑った。

 今年8月、カンポグランデは県人移住100周年を盛大に祝う。毎年の「そばフェスティバル」の規模を拡大して併催することで、県人がこの地に溶け込んだ1世紀の歴史もアピールしたい考えだ。

 「オジイ、オバアが持ってきたそばは、沖縄とカンポグランデの融合の象徴。共に節目を祝いたい」

 開催準備に日夜奔走するカンポグランデ沖縄県人会の志良堂ニウトン会長(58)は、表情を引き締め、沖縄への熱い思いを口にした。

 昨年、和食がユネスコの無形文化遺産に登録された。これに先駆けること7年。ブラジルの一地方都市で沖縄のそばが認められていた。移住という草の根レベルで、文化交流を果たしてきた県人と、それを受け入れたブラジルの友好の証しでもある。(堀江剛史・ブラジル通信員)=おわり