経済的に困っていたり、家族の支援が受けられない高齢者を、市町村が老人福祉法に基づき入所させる「養護老人ホーム」の定員割れが著しい。県内の2013年度の入所者は過去最少の212人で定員に対する割合は7割。自治体は「対象者がいない」ことを要因とするが、生活保護を受給する高齢者は年々増えている。関係者は市町村が入所を制限する「措置控え」が横行していると警鐘を鳴らす。(黒島美奈子)

県内の用度老人ホーム入所者数推移

 養護老人ホームは、県内には本島と宮古、八重山に6施設、定員は計300人。4月1日時点の県のまとめによると、05年度275人だった入所者は、08年度254人、12年度229人と減り続け、13年度までの9年間に23%減少した。

 入所には、市町村が高齢者の保護を判断する「措置」が必要で、市町村は高齢者1人当たり月約20万円の措置費を負担する。かつては国が半分、市町村が半分から4分の1を負担していたが、05年度から地方への税源移譲で市町村の全額負担になった。以降、市町村が措置に消極的な「措置控え」が顕著だ。

 65歳以上の高齢者が千人以上いる29市町村のうち、13年度に措置が無かったのは高齢者人口が多い順で豊見城市、読谷村、与那原町、嘉手納町、金武町、伊江村、宜野座村、大宜味村の8市町村に上る。

 これら市町村では措置が無い状態が続き、豊見城市は6年、読谷村は7年、嘉手納、金武、宜野座の3町村は少なくとも県が把握する9年間措置が無かった。

 逆に、市部で高齢者人口に対する措置の割合が高いのは宮古島市(13年度38人)、石垣市(同23人)、那覇市(同61人)、名護市(同11人)で自治体によって対応が分かれている。

 県老人施設協議会養護部会の安里政晃副会長は「措置の有無は生活困窮の高齢者に大きな影響を及ぼす」と指摘。「中には『養護は金がかかる』として高齢者に生活保護を受給させて有料老人ホームを紹介する自治体もある」と話し、市町村の対応を疑問視した。

 [ことば]養護老人ホーム 経済、環境上の理由により家庭で養護を受けることが困難な高齢者を市町村が保護し、入所させる。高齢者に住まいと食事と見守りを提供する福祉施設で、介護施設の特別養護老人ホームとは異なる。身の回りのことができる高齢者は外出も可能で、ホーム内にはサークル活動もある。必要な場合は、介護サービスを受けることもできる。