最近、普天間移設問題を取材していると、“Futenma is yesterday,s new thing”というフレーズをよく耳にする。

 直訳すると「普天間は昨日の新しい出来事」、つまり「昔は旬だった話題」という意味で、辺野古埋め立て承認で普天間を「片付いたもの」と捉えている米政府関係者らの認識を表したものだ。

 「フテンマ」の代わりに、ぐんと頻出度が高まっている単語が「コレクティブ・セルフ・ディフェンス(集団的自衛権)」で、オバマ大統領が先の訪日で明確な支持を表明して以来、行使容認を前提にした議論がより活発化している。

 沖縄をめぐる動向で米政府関係者らが次に注目しているのはやはり県知事選。名前が挙がり始めた候補者らに関して彼らが興味を示すのは、辺野古をめぐる政策よりも、集団的自衛権に対する考え方のようだ。

 当初、日米両政府は年内に日米防衛協力のための指針(ガイドライン)の再改定を完了させると意気込んでいたが、なぜかトーンダウン。オバマ大統領の側近で、ヘーゲル国防長官の右腕でもあるリッパート首席補佐官は、日米首脳会談後の講演で「慎重に進めることが大事だ」と期限にこだわらない姿勢を示した。

 同じころ、ワシントンを訪れていた自民党の石破茂幹事長は、バイデン副大統領ら米政府要人と次々と会談。3日には訪問先のボストンで記者団に「地方選で集団的自衛権が争点になるような政治日程にしてはいけない」と語った。

 オバマ大統領は安倍晋三首相との会談で、尖閣をめぐり日中が対話せず争いをエスカレートさせることは「重大な過ちだ」とくぎを刺した。しかし、普天間の移設先をめぐり日本の首相のクビが飛んだ時も、県民が反対するオスプレイが強行配備された時も、オバマ氏は沖縄と対話することなく、事態を看過した。米国のトップが介入しないから、「糸で縄を買う」といわれた沖縄を条件に取引する日米関係は今も変わらない。

 在沖米軍基地の役割は、集団的自衛権とどう関連していくのだろう。知事選後に「昨日の新しい出来事」になるものをシミュレーションしながら考えてみる必要がある。(平安名純代・米国特約記者)