県産キクの3月彼岸期の出荷実績が5日までにまとまった。「太陽の花」で売り出す県花卉(かき)園芸農業協同組合と「おきなわの花」のJAおきなわは、ともに前年の反動から出荷額は増えた一方、計画比ではそれぞれ1億円前後マイナスとなった。主力の小ギクで高値が付かなかった。他方で、華やかさが売りのスプレーギクが高値を付けるなど消費者の関心は「仏花」に限定されない花へと多様化しつつある。両生産団体は来期の販売戦略を見直す検討を始めた。(粟国祥輔)

ANAの貨物便で出荷される県産キク=3月8日、那覇空港貨物ターミナル

 出荷実績(3月1~31日)は太陽の花が小ギク・大ギク・スプレーギク全体で約26万ケース(1ケース200本入り)。おきなわの花が同16万ケース。供給過多で値崩れにつながった前年の反省を踏まえ、生産調整により前年の100%の水準に量を抑えた。

 出荷額は太陽の花が約20億円。おきなわの花が約11億円。単価が緩やかに回復し、それぞれ前年同月の114%、113%に増えた。

 一方で、主力の小ギクの出荷額が計画比で1割以上の減となった結果、太陽の花が2億円弱、おきなわの花は約1億円の計画倒れとなった。

 単価安になったのが最大の要因だ。今期は全体的に白赤黄の3色の割合や、草姿バランスが例年以上によく前年の27円を大幅に上回る1本当たり34~36円での取引を見込んでいた。

 だが実際には31~32円の低価格で推移。計画に対して「太陽の花」は5円安、「おきなわの花」は3円安と大きく計算が狂った。

 計画を大きく上回ったのがスプレーギク。豊富な色と華やかさを醸し出すボリューム感が特徴で「仏花」以外でも幅広く使える。安定した人気があり、今期も8円高の42円という高値で取引された。

 「小ギク離れが始まっている」(花卉組合)、「今後はキクだけでは駄目だ」(JA)-。背景には割高でもより鮮やかな花を好む消費者が増えつつあるとみる。

 花卉組合は「今の現状では厳しくなる一方だ」とし、小ギク生産の一部をスプレーギクに振り向けることを内部で検討している。JAも品種構成を見直すほか「多品目にわたって生産できるような販売体制を構築する」とし、今後はトルコギキョウなどキク以外の品種を農家に本格普及させることを検討している。

 [ことば]沖縄のキク栽培 県園芸品目で花卉(かき)の農業産出額は94億円(2012年度)。そのうちキクは72億円で全体の76.5%を占める。冬春期に露地栽培できる利点があり、特に沖縄は3月彼岸期の産地として定着し、全国市場に出荷される小ギクの9割を沖縄産が占める。農家戸数は891戸(11年度)。