「心臓病」。皆さんはどういうイメージをお持ちですか? 

 少し動くだけで胸が苦しくなる、1日のほとんどをベッドで過ごさなくてはならない、散歩は優しい看護師さんに車いすで連れて行ってもらう-小説やテレビからそういう印象を持つ人も多いのではないでしょうか?

 実際は、最近の医療の進歩で、心臓病の患者さんは普通に日常生活を送られている方が大半です。

 「足は第2の心臓」という言葉があります。足の筋肉を動かすことで全身の血のめぐりが良くなって心臓の働きを助けてくれるという意味です。静かにじっと過ごすよりも適度に運動した方が心臓の働きが良くなると言われており、心臓病患者さんには運動を積極的にするよう勧めています。運動で心臓の働きが良くなるだけでなく、動脈硬化の元になる血圧やコレステロールや血糖などの値も良くなるので、脳梗塞や全身の血管の病気を予防することもできます。

 しかし、やみくもに運動すれば良いというものではありません。突然フルマラソンを走れば、心臓病でない人でも最悪の場合、突然死する可能性があります。

 健康維持には有酸素運動が良いと言われています。有酸素運動は心臓にあまり負担をかけず、無酸素運動よりもコレステロールや血糖値をはるかに良くすることができるので、心臓病患者さんにも安全で非常に効果的な運動です。

 具体的には短距離走や筋力トレーニングといった瞬発的に全力を出すような運動は無酸素運動で、歩いたりゆっくり泳いだりする運動が有酸素運動に当たります。

 普通に話ができるくらいの速さで歩けば有酸素運動になると言われていますが、心臓専門の病院では心肺運動負荷試験(CPX)と呼ばれる検査で、どのくらいの運動が有酸素運動になるのか数値で知ることができます。検査を受けることで患者さんに合った安全な運動法を示すことが可能ですし、日常生活でどの程度まで動いて良いか判断し、治療や運動の効果が出ているか時間を追って判定しています。CPXはスポーツ医学の分野でも注目されています。

 県内は日中暑く、車社会であるため運動する機会が少なくなっていると思われます。

 心臓病や糖尿病の人はもちろん、血圧・コレステロールが気になる人や健康に自信のある人でも、心臓病予防として積極的に運動することをお勧めします。(鯨岡健・北部地区医師会附属病院心臓血管センター)