電柱や信号柱に掲げられ、海からの高さを表す「海抜表示板」。津波から避難するための目安となる人命に関わる情報の上に、消費者金融の広告ビラが張られるケースが相次いでいることが8日、分かった。県の屋外広告物条例は電柱や信号柱に許可なくビラを張ることを禁じており、業者側のモラルが問われる。(矢島大輔)

海抜表示板に張られた消費者金融の広告ビラ=宜野湾市内(画像の一部を加工しています)

伊佐区自治会が設置した海抜表示看板

海抜表示板に張られた消費者金融の広告ビラ=宜野湾市内(画像の一部を加工しています) 伊佐区自治会が設置した海抜表示看板

 宜野湾市の伊佐区自治会によると、2011年10月から地区内の電柱に39枚、信号柱に5枚、青色の海抜表示板を掲げている。赤字で「津波に注意」と記されている。

 自治会長の宮城奈々子さん(61)が今年1月、少なくとも6枚の上から消費者金融の広告ビラが無断で張られ、「海抜2メートル」などと記された表示部分が読み取れなくなっていることに気づいた。3社のビラが重なるように張られたものもあった。

 戦後、「銃剣とブルドーザー」によって高台の土地を米軍に強制接収され、多くの住民が海沿いの低地に移った。1960年のチリ地震でも津波が押し寄せ、東日本大震災の前から海抜表示板を求めていた。宮城さんは業者に電話をかけ除去を求めたが、ドスのきいた声の男性が「担当者に連絡しときます」と言っただけで、その後の対応はなかった。

 「命を救うための表示に、お金もうけの広告を張るのは許せない」

 県は震災後、住民の避難意識と体制の強化のため、海抜表示のガイドラインをつくった。現在はすべての市町村が設置しているが、こうした被害がどの程度あるのかは不明だ。

 県都市計画・モノレール課によると、13年度に県の条例に違反し、除去した広告ビラなどは約1万5千点。無許可の掲示物に罰則がなく、除去した場所に再びビラが張られる状態だ。担当者は「いたちごっこが続いている」と話す。