宮古島市に本社を置くウェブコンテンツなど企画、制作の有限会社「セルリアンネット」(高柳仁社長)がスマートフォン用アプリ「ミャークボイス」を開発し、ミャークフツ(宮古言葉)を継承するプロジェクトを進めている。録音機能を備えたアプリで、島民が自由に宮古言葉の音声を登録し、公開する。海外からの反応もあったことから1月には英語版も新設。同社は、将来的に各地のしまくとぅばを網羅するアプリを開発し、プロジェクトの輪を広げていきたいとしている。(宮古支局・新垣亮)

宮古言葉を継承するため開発されたアプリ「ミャークボイス」を紹介する中澤玲さん=宮古島市平良下里「セルリアンネット」

地域のお年寄りを訪ね、ミャークボイスの説明をする中澤さん(セルリアンネット提供)

宮古言葉を継承するため開発されたアプリ「ミャークボイス」を紹介する中澤玲さん=宮古島市平良下里「セルリアンネット」 地域のお年寄りを訪ね、ミャークボイスの説明をする中澤さん(セルリアンネット提供)

 アプリは「iPhone(アイフォン)」版で無料ダウンロードできる。設立10年目を迎えた同社が地域貢献を目的に開発した。

■地域聞き比べ

 アプリを起動させ、登録画面に移ると、ミャークフツを録音することができる。10秒以内に言葉を吹き込み、その意味や一言コメント、自分の写真などを登録する。

 ホーム画面では登録者の一覧が並び、自由に閲覧したり音声を聞くことができる。アプリのユーザーは今では600を超えたという。

 ミャークフツは地域ごとでも言い回しや発音などが違うことが多いことから、あえて発音の表記はせず、同じ意味でも耳でその違いを楽しめるようにした。同社では、アプリの開発を契機に、宮古地域のお年寄りらを訪ねて、録音作業を続けている。

 例えば、「ありがとう」を表すのは「たんでぃがーたんでぃー」というのが一般的だが、地域によっては「すでぃがふー」、「まいふかー」などの言い方もあり、アプリで聞き比べるのも面白い。

■全国の言葉も

 企画担当の中澤玲さん(40)は、「テープのように劣化することはない。一方的にミャークフツの意味を教えるアプリはあるが、このアプリは誰でも参加でき、みんなで残していくことができる『島民参加型』になっている」と話す。

 これまでのお年寄りの収録作業では、最初は「アプリって?」との反応だったが、仕組みも簡単なことから、多くのお年寄りが関心を示してくれたという。

 中澤さんは「言葉は話す機会がないと、どんどん失われていってしまう。楽しみながら孫から子どもまで、ミャークフツが話題になるきっかけづくりとして、楽しんでほしい」と期待する。

 世界中、どこでも利用できることから、ハワイの研究者らが興味を示し、同社を訪ねてきたこともあったという。

 観光客が島の言葉に触れるツールにもなる。同社は「ミャークボイス」の機能を応用し、今後は、県内外を問わず各地のしまくとぅばの継承活動にも役立てたいとしている。