Q 憲法を改定する議論がさかんだけど、最近は「憲法は国家権力を縛るものであり、安易に変えたら権力の暴走を許してしまう」という意見をよく聞くね。

 A 憲法改定に慎重な人たちが主張しているね。ちょっと難しい言葉だけど、憲法が政治を統治するという「立憲主義」に基づく考え方だよ。ただ、憲法は国民に働いたり税金を納めたり、子どもに教育を受けさせたりする義務=30条=も課してるよ。

 Q じゃあ、なんで憲法が権力を縛ることがクローズアップされてるの?

 A 憲法を変えることで、政府が知られたら都合の悪い秘密を隠したり、国民が持っている基本的人権が制限されたりしないか、という警戒感があるからだよ。護憲派の人たちは「憲法によって縛られるべき権力者が、憲法を都合のいい内容に変えようとしていないか」と警戒しているんだ。

 憲法には、閣僚や官僚などの公務員は憲法を尊重し、擁護しないといけないという決まり=99条=もあるよ。だから、国民ではなく権力者を縛るものだという解釈が広がってるんだ。

 Q 法律は国民が守らないといけない決まりだけど、憲法は違うんだね?

 A ただ、解説書には、主権者である国民が国の最高法規の憲法を尊重するのは当然という解釈もあって、99条に国民を明記しなかったのは当たり前だから、という考え方もあるよ。

 権力を縛るという意味だけを重視すると、たとえば、ある政権による憲法改定で人権が極端に制限されてしまったら、次の政権がその内容に縛られてしまうという問題もあるよね。

 だから、近代では立憲主義の思想の中に、少数派の意見を大事にするとか、多様な価値観を認め合うという、国民の人権を重視する精神が含まれていることにも注目しないとね。

 立憲主義は、絶対的な権力を持つ国王などが民衆を押さえ付けてきた中世の欧州で、自由や権利を求めた人たちの知恵で少しずつ整理されてきたんだ。

 Q 権力が守らないといけない憲法を、政権側が変えるというのはおかしいんじゃないの?

 A 憲法は国の最高法規だから、ころころ変えちゃいけないのは間違いないよね。ただ、国民の意識も多様化して、環境権など新しい条項を付け加えたいという意見もある。

 日本の憲法は、内容を変えるときは国会議員の3分の2以上の同意と、国民投票で過半数の賛成がないといけない決まり=96条=があってね、最後に決めるのは国民なんだ。

 だから、日本に住む一人一人が権力者の意図も読み取って、憲法を変えていいのかどうか、みんなでよく考えて決めたいよね。(政経部・吉田央)