尾籠(びろう)な話で恐縮だが、経営者の名言の一つに「利益はウンチです」がある。長野県の寒天メーカー「伊那食品工業」の塚越寛会長が唱える

 ▼1958年の創業から半世紀以上も増収増益を続ける企業である。「利益は-」と聞いて、塚越さんの顔を思い浮かべる経営者も多いだろう

 ▼いわく、「健康な体なら自然と毎日出るもの。利益(ウンチ)が自然と出てくる健康な会社を作りましょう」。永続会社の要諦である

 ▼冒頭の言葉は落語の慣用句で、大小便など人前ではばかれる話のくだりで前置きする。伝統ある江戸の落語界には、毎年100人以上の若者が入門するという人気の“職場”である

 ▼中には東大を出て高座を目指す人も。先日聴いた寄席では、「高い金かけ勉強して、はなし家になるのは『落語者』だ」と、誇らしげにオチをつけていた。確かな芸(理念)とたゆまぬ稽古(実践)を糧に、しなやかにはぐくんだ人気(利益)に違いない

 ▼かたや、目先の利益に心奪われ、不健全へと転げ落ちるのが「ブラック企業」であろう。低賃金、長時間労働で働く人をむさぼり食った揚げ句、心身を病ませて吐き捨てる。沖縄にも比較的多いと報道があった。これでは当面の利益は出せても永続は望めない。経営の落後者である。まず健康づくりの基礎から出直すべきだ。(宮城栄作)