梅雨真っただ中、ジメジメと湿った空気が肌にまとわりつく。取材先ではカメラ機材をぬらさないよう気を使い、うらめしい思いで雨雲を見上げる。予報では今週も雨の日が続きそうだ

 ▼那覇市内では豪雨の後、各地で道路冠水が起こる。アスファルトやコンクリートだらけの都市で行き場をなくした水が低地に集まり、奔流となる。側溝から水があふれ、車がしぶきを上げる光景も珍しくない

 ▼昔、道路や住宅の地面が舗装されていなかったころ、雨は降った場所で時間をかけて土や石積みの間に染み込んだ。安里川や安謝川は上流の首里の各屋敷がダムの役割を果たしていた。草木が茂る屋敷の庭で雨水が吸収され、下流で増水が起こりにくい構造だったという

 ▼かつて取材した元県公害衛生研究所長の吉田朝啓さんは「今は屋敷も道路もコンクリートで固められ、地面に染み込まない水は一気に海まで流れる。効率的だが、大地にも海にも人にも過酷な仕組みだ」と指摘していた

 ▼首里には人々を潤してきた泉が各地にあった。だが水量が減ったり、枯れたりした所も多い。雨水が浸透しなくなったことと無関係ではないはずだ

 ▼沖縄の島々にとって恵みをもたらす命の水。一方、都市河川では急激な増水による事故が起こったこともある。雨音が絶えない季節、水との関わりを考えたい。(田嶋正雄)