「履行できないのに、できるふりをすることは無意味だ」-。

 2011年6月17日。記者会見に立った米上院軍事委員会のレビン委員長とマケイン筆頭委員(当時)は、普天間の辺野古移設計画を「幻想だ」と切り捨て、日米両政府が実現の見通しがない計画を維持する矛盾を率直に批判した。

 米国防予算の承認権限を持つ同委与野党のトップ2人による反対表明は、文字通り両政府を揺るがすほど大きな影響を与えた。

 以来、議会と政府は「沖縄県知事が辺野古の埋め立てを承認しない限り、移設は不可能だ」との認識を水面下で共有してきたが、昨年末の承認で状況は一転。両政府は、計画に着手しようと秒読み態勢に入っている。

 辺野古の新基地建設計画をなくすにはグアム移転協定の変更が必要だが、日米両政府にその意思はない。

 「辺野古に、絶対に基地は造らせない」を公約に掲げ、具体策を模索するため訪米している稲嶺進名護市長は、19日にウェッブ元上院議員と面談する。

 上院軍事委は現在、15年度国防権限法案の策定作業中で、稲嶺氏の滞在中に内容を確定する見通しだ。

 稲嶺氏はウェッブ氏との面談で、法案に名護市の意思を尊重する文言を盛り込む可能性を協議するとよいだろう。例えば、着工には「名護市長の許可を必要とする」などの条項が盛り込まれれば、少なくとも稲嶺氏の在任中は着手できなくなる。

 辺野古移設計画が非現実的であると熟知しているウェッブ氏は、1月末の糸数慶子参院議員ら訪米団との会談で、すでに沖縄と議会の橋渡し役を申し出ている。

 米議会の立役者らをめぐる状況は、11年時と比べて大きく変化した。ウェッブ氏に続き、レビン氏も近く引退。残るマケイン氏は埋め立て承認を受け、現行計画支持に転じている。

 グアムでは、実弾射撃訓練場の建設地をめぐり、住民の反対で再び計画が停滞するのを回避しようと、当地選出の下院議員が米環境保護法を変えてまでも基地建設を履行する強行姿勢を見せている。

 稲嶺氏の今回の訪米の成否を握るのは、議会を再び味方につけることができるかどうかだろう。

 「履行できないものはできない」との主張を法案に反映させることができれば、確実に大きな一歩となる。(米国特約記者・平安名純代)