今月、ハンセン病患者や回復者の人権回復に奔走したお2人が、立て続けに亡くなった。全国療養所入所者協議会会長の神美知宏さんは80歳。そして多くの人に、身震いするほどの勇気を与えたハンセン病違憲国賠訴訟全国原告団協議会会長の谺(こだま)雄二さん、82歳

▼いつか取材をと思いつつ、残念ながらどちらも機会をつくれなかった。だが過酷な歴史を背負ってなお、発信し続ける姿を見聞きするたびに感服した

▼沖縄でも、多くの人が言葉に尽くせぬ差別を受けた。「人骨と寝ることなど、何でもなかった。生きた人間の方が怖かった」。前に取材した名護の沖縄愛楽園の入所者は、無人島での生活を振り返った

▼人々に「来るな」と迫害され、追い立てられて、風葬した人骨が残る島に逃れ隠れた。語りながら彼は、時に気丈に笑い、何度も目尻に涙をためた

▼忘れてはいけない史実は、沖縄にもある。だが入所者の高齢化が風化を加速させている。宮古南静園は2年前、全国13療養所で初めて自治会活動を休止した。今月、再開に向け役員選を行ったが、本年度も休止が決まった。入所者の平均年齢は84歳

▼国が何を誤り、強いたのか。伝え残す機会は確実に減っている。2009年のハンセン病問題基本法施行から5年。多くの死を「過去のもの」と忘却に委ねてはいけない。(儀間多美子)