沖縄三越は19日、閉店を正式発表した。頭を下げる経営陣。一部解雇も想定される従業員たちは「混乱している」と涙を浮かべた。那覇市の国際通りで57年間、商品だけでなく文化も発信してきた。OB、顧客は幕引きを惜しむ。

沖縄三越閉店について会見する杉山社長(中央)と硬い表情を浮かべる外間専務(右)、赤嶺副店長=19日午後6時すぎ

■混乱で頭いっぱい 従業員

 「心配をかけて、申し訳ありませんでした」

 19日午後7時半の閉店後、杉山潤治社長は従業員を集め、初めて閉店の方針を報告。頭を下げて謝罪した。雇用の見通しには踏み込まなかったものの、20日から個別に説明をしていく考えも話したという。

 杉山社長による報告が終わったとみられる午後8時30分すぎ、従業員通用口から連れだって出てきた3人の女性は「私たち、これからどうしたらいいのかねー」と苦笑い。別の女性従業員は「閉店報道を目にして半信半疑だったけど、社長自ら説明があって。本当だったのかとびっくり」。

 中にはハンカチで目頭を押さえ出てくる人の姿も。「混乱で頭がいっぱい。家に帰ってゆっくり考えたい」「気持ちの整理がつかない」「涙が出てしまうので(取材は)勘弁してください」などと口にして足早に去っていった。

 従業員は、閉店に関する顧客対応の説明も受けた。一方でテナントで働く従業員の一人は、帰り際に「明日、報道される内容を見てください」と説明されるのみだったという。

 高校卒業後30年以上働いてきたという女性は、悲しさを振り払うかのような笑顔で言った。「ここまで来たら、最後まで精いっぱい頑張りたい」

■胸詰まる思い なくしてはいけなかった 利用客

 閉店の正式発表に沖縄三越の利用客からは、惜しむ声が相次いだ。

 那覇市で飲食店を経営する渡嘉敷尚子さん(62)は食料品の買い物で毎日利用している。「今後も食料品店だけはなくさないでほしい」と語った。

 「三越の袋が好き」と言う自営業の女性(67)は、報道で閉店を知り「胸が詰まる思いだった」という。「三越には歴史とブランド力がある。絶対になくしてはいけなかった」と悲しんだ。

 「友の会」で積み立てをしている那覇市の上里愛さん(75)は「全額払い戻しがあると聞いてほっとした。でも、三越が無くなると沖縄も寂しくなる」と話し、「跡地は地元の人も足を運んで楽しめるような場所にしてほしい」と期待した。

■「申し訳ない」声震わす役員

 沖縄三越内の記者会見場には報道陣約50人が詰めかけた。19日午後6時、白地にオレンジ色の柄のかりゆしウエアを着た経営陣3人が会見場に現れると、何度もフラッシュがたかれた。

 「深くおわび申し上げます」。冒頭、杉山潤治社長が述べ、同席した外間寛専務、赤嶺聡副店長とともに頭を下げた。

 杉山社長は用意した文章を淡々と読み上げた後、記者の質問を受け「(経営の努力を)上回る変革の波があった。地方都市における百貨店の苦戦は、沖縄も例外ではなかった」と閉店の経緯をまとめた。 

 「廃業、倒産なのか」と記者から問われた外間専務は「廃業については毛頭考えておりません」と語気を荒らげたが、従業員への対応についての質問に「申し訳なく思っている」と声を詰まらせ、目を赤らめた。

 約1時間続いた会見の最後、32年間働いたという赤嶺副店長は寂しげに話した。「国際通りはここ数年、お土産通り化していた。(閉店で)牧志のシンボルがなくなる」