実家の台所は、いつもラジオが流れていた。古い記憶は、今も耳に残る秋山ちえ子さん朗読の童話「かわいそうなぞう」

 ▼昼間は仲井真元楷さんの方言ニュース、夕げのころはポップス。中高生になると自分用で、梅雨の今ごろには毎度、聴かなくなっていた早朝の受験英語番組、逆に怒られてもやめられなかったのが深夜放送だ

 ▼東日本大震災以降、見直されてきたラジオを、沖縄県民は好むらしい。ビデオリサーチが初めて実施した調査で、日常的に聴く人の割合が都道府県別で1位だった。特に多いのは35~49歳の男性。この世代は女性も全国の2倍になる

 ▼時間帯のピークは平日の午前7時台。その後、聴取者が少し減ってほぼ横ばいになり、夕方6時以降は減り続ける。調査からは、朝の支度や車での通勤・移動、作業場などで耳を傾ける姿がみえてくる

 ▼聴取者が多い、もう一つの理由は「名物パーソナリティーによる地元密着番組の存在」。車中で、独りごちて笑える番組を好む者としては、手放しで納得する。この地は“キャラ立ち”する個性豊かなパーソナリティーを次々と生んだ

 ▼それは、ラジオが沖縄の暮らしと相性よく、耳になじむ語りで聴取者とつながる世界を築き上げてきたことにほかならない。少し遠ざかっているあなた、スイッチを入れてみてはいかが。(与那嶺一枝)