9歳で先天性小児脳腫瘍を発症し、術後の後遺症に悩まされてきた岸本聡子さん(31)=西原町=が、苦しかった日々と向き合い、痛みや希望を表現した絵画展を与那原町内で開いている。創作をきっかけに21年間続いた頭や首、背中の痛みが昨年から徐々に軽くなっているという。同じ苦しみを持つ闘病者や障がいのある人が少しでも周囲に理解してもらえることを願い、病院や福祉施設での個展開催などアートを通した活動に歩み出した。(溝井洋輔)

「痛み」と対話する気持ちを絵に表現した岸本聡子さん=19日午前、与那原町・コミュニティカフェよなくる

 与那原町の「コミュニティカフェよなくる」で18日から始まった個展「OUT PUT展-心に秘めた想いを発進-」。頭や首に見知らぬ手が伸びる「痛みとの対話(1)憎いやつら…」や、原因を想像した「体内フォーカス(神経VSスパイダーマン)」、赤や黄など明るい色を織り交ぜた「回復への道のり」など8作品が並ぶ。

 岸本さんは小学校4年で手術後、後遺症に悩まされる日々が始まった。学校も休みがちになり、痛みが周囲に伝わらないことに、さらに苦しめられた。「この状況をなんとか打破したい」。高校卒業後に看護師の道に進むが、体調悪化などで退職を余儀なくされた。

 抑うつ状態で出会ったカウンセラーに絵を勧められたことが転機になった。初の作品を描いていた昨年2月ごろ、知人の臨床心理士から紹介された整骨院の助けもあり、痛みが軽減した。「絵を描くこととのつながりは科学的には証明されないかもしれないが、劇的な改善に自分自身が驚いている」

 個展は昨年12月、今年3月に続いて3回目。絵を通して自らの経験を、同じ苦しみを抱える人に伝えたいという。創作を通した居場所づくりや、芸術分野への就労支援など夢は広がる。「闘病者や高齢者、障がい者らが伝わりにくい思いを表現する。そのアート展の収益が自立を支えることにつながれば」と話す。

 「よなくる」は定休の金曜日を除き午前9時から午後10時まで。個展は31日まで。問い合わせは、電話098(917)0909。