【八重山】どの公民教科書を使うか-をめぐって、2011年から続く竹富町と国の対立は、国が違法確認訴訟をしないと決めたことで終息に向かいそうだ。「政治の風」から教育を守った安堵(あんど)と自負の一方で、「これからが正念場」との声も上がる。

 「えっ、そうなの」。23日午前、提訴見送りの一報が入ると、竹富町教育委員会の職員からどよめきが起きた。

 別用で東京に滞在中の慶田盛安三町教育長は「採択地区の単独化が違法状態の解消につながるので、予想はしていた」と提訴断念を冷静に受け止めつつ、「教育現場を乱す提訴が無くなり一安心。単独採択を決めた県教委にも感謝したい」としみじみ語った。

 前日、竹富分離の説明を文部科学省にしたばかりの諸見里明県教育長も「竹富の子どもたちに配慮してもらった。竹富の教科書採択を見守り、支援したい」と、ほっとした様子だ。

 竹富町を支持してきた住民団体は共同で「教育現場の意見を尊重する教科書採択を」と題した声明を発表した。

 「子どもと教科書を考える八重山地区住民の会」の村田栄正共同代表は「提訴見送りは大歓迎」と評価すると同時に、「6月には小学校の教科書採択がある。石垣と与那国の両教委が教育現場の意見を尊重するよう求めたい。教科書問題はまだ終わっていない」と気を引き締めた。

 県民間教育研究所の長堂登志子所長も「国の圧力をはね返した竹富町教委と県教委に敬意を表したい」としつつ、「竹富の分離によって、かえって石垣と与那国はやりたい放題になってしまわないか。全面的には喜べない」と複雑な心境を打ち明けた。