裁判所も捨てたもんじゃない。画期的な判決である。

 ストライキのために取得した年休が無給とされたのは不当だとして、全駐労沖縄地区本部の組合員176人が雇用主の国に未払い賃金と「付加金」を合わせ、計約411万円の支払いを求めた訴訟で、那覇地裁は全駐労側の主張を全面的に認めた。労働基準法に基づく制裁金である「付加金」を含む全額の支払いを国に命じた。全駐労側の全面勝訴である。

 年休の取得は、労基法で定められた労働者の権利である。時季や取得理由も自由だ。判決は「有給休暇の範囲内であり、取得に違法はない」と明確に認定した。

 一方、使用者には年休取得の時季を変更できる権利がある。国はストの前に、米軍が時季変更権を行使することなく年休を認めないことに対し、同意できないことなどを通知。国は米軍のやり方に懸念を示していたのだ。

 国は裁判の途中から米軍が時季変更権を行使していたとの主張を取り下げた。賃金を支払わなければならなくなるが、判決ではその後も支払いをしない国を指弾している。

 米軍も付加金の制裁対象に加えたのは特筆される。基地従業員の雇用形態は国が雇用主で、米軍が使用者の「間接雇用方式」だが、判決では国と米軍は雇用主の権利義務を分担していると規定した。

 国が付加金を米軍に求償できることや、米軍が償還を拒んだとしても、今後同様の事態を招かないことになると言及。米軍の違法行為の「抑止力」と受け止められる制裁の効用にまで踏み込んでいる。

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 米軍が2012年、売店などで働く60歳以上の従業員を強制的にパートに切り替えたことがストライキの発端。賃金は半減することになった。

 全駐労は米軍に抗議し、撤回を求めたが、応じることがなかったため、原告らは年休取得を申請し、同年7月13日にストライキを決行した。

 これに対し米軍はスト参加の有無にかかわらずスト日に年休を取得した場合は、賃金カットすると通告してきた。

 「基地内は、日米の労働法規が適用されない、一種の無法地帯」(與那覇栄蔵委員長)といっていい。

 法定時間外労働に関する労使の「36協定」の締結や、就業規則(変更)の届け出、安全衛生委員会もない。

 全駐労と国が団体交渉で労働条件の改善で一致したとしても米軍の合意を取り付けないと実現しない。労働者保護は主権国家の務めではないか。これを放棄している国の対米姿勢は納得できない。

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 基地内では米軍が労務管理を行い、雇用主の国も基地内労働の実態を把握する事ができない。日米地位協定の排他的管理権によって自由に立ち入ることができないからだ。

 地位協定は「労働者の権利は、日本国の法令に定めるところによらなければならない」とするが、その前に「相互間で別段の合意をする場合を除く」との条件が付く。

 日本の労働関係法令と齟齬(そご)が生じる抜け道になっているのである。やはり地位協定の抜本的改定しかない。