豊見城市の元小学校長、宮城恒彦さん(80)が、座間味島や久米島からサイパン、テニアンに渡った2人の戦争体験をつづった「バンザイ・クリフ-自殺の断崖-」を発刊した。1989年以来、毎年1冊ずつ発刊している「戦争体験記」はこれで26冊目。宮城さんは「平和を考える一つの資料になれば」と話している。(島袋晋作)

26冊目の戦争体験記でサイパン・テニアンの戦争体験記をまとめた宮城恒彦さん=豊見城市渡嘉敷の自宅

 恩師の知念春江さん(故人)のサイパンでの体験と、知人の母で久米島出身の中村カメさん(101)のテニアンでの体験を、それぞれの手記を基にまとめた。

 「楽園」と呼ばれた南洋へ希望を抱いて渡ったものの、地上戦に巻き込まれ、飢えや喉の渇きに苦しみながら必死で逃げ回った「地獄のような日々」がつづられている。タイトルにも使用した「バンザイ・クリフ」から身を投じるなどして、自決を図った人たちの様子も書かれている。

 そのほか、沖縄からの移民が多かったことから、県関係者が多数亡くなった時代背景も分かりやすく解説した。これまでのシリーズで最長の238ページで、千部を印刷。自宅近くの小学校などへ配布した。

 宮城さん自身も座間味村で「集団自決(強制集団死)」を体験した一人。「戦争は親子の愛、人間の愛をも完全に消してしまう。これまで多くの人の戦争体験に触れてきたが、いかなる場面においてもむごたらしいものだ」と指摘する。

 毎年、「これで最後」と自らに言い聞かせつつも筆が止まらない。「故郷の座間味島からも多くの人が南洋へ出稼ぎに行き、悲惨な地上戦に巻き込まれた。どうしても書きたいテーマだった」という。

 宮城さんは、安倍政権の秘密保護法制定や、集団的自衛権行使に向けた動きを挙げ、「日本丸の進路がいつか来た道へと戻りつつある。この1冊が平和憲法を考える一つの資料になれば」と話した。