沖縄県が30日に発表した「津波避難困難地域図」は、大地震に伴う津波の到達予想時間までに、高齢者らが安全な場所へ避難するのが難しい地域が、県内で117カ所、計65平方キロに上るとした。津波による浸水予測面積の19・5%を占める。地域の抽出に当たっては、住民だけでなく観光客の滞在も考慮した。地域図は県防災危機管理課のホームページから見られる。

津波避難困難地域

 市町村の防災、減災対策に役立ててもらうのが目的。同様の取り組みは、都道府県レベルでは和歌山県に続き2例目。千年に1度の大津波を想定して昨年1月に公表した浸水予測図と、道路図を基に、お年寄りら「災害弱者」が時速1・8キロで歩いて逃げても、津波が来るまでに浸水範囲外に出られない地域を選び出した。近くに避難ビルなど高層建物や避難路がある地域は除いた。

 避難困難地域があるのは21市町村。面積順に石垣市、竹富町、宮古島市、久米島町と続く。住民がいない地域にも観光客が滞在すると想定したほか、逃げられるビルがあっても、住民と観光客を収容するのに不十分な場合は「避難困難」と判断。その結果、面積が広がった。

 一方、那覇市や北谷町、読谷村など20市町村は避難困難地域「なし」とされた。津波による浸水予測面積が広い自治体でも、避難タワーを設けたり、民間ビルと協定を結んだりして逃げ場を確保していた。

 県防災危機管理課は「沖縄は沿岸部に多くの住宅地がある。市町村は津波避難困難地域図を生かして、高齢者や障がい者、観光客向けの避難計画を作ったり、自主防災組織の結成を促すなど対策を進めてほしい」としている。

自治体、避難コース周知に懸命

 避難困難地域を抱える自治体はハードとソフト両面の対策を進めているが、高齢者を含めた避難には課題も多い。

 震源地に近い八重山地域は津波到達予想時間が早い所で8分と、時間との闘いになる。

 石垣市は人口の大半が住む市街地周辺の避難が最大の課題。市は津波避難ビル15カ所を指定、津波の遡上(そじょう)高を色分けした新しい防災マップも配布した。担当者は「全市規模の避難訓練を毎年繰り返すことで、意識を高めたい」と話す。

 八つの有人島からなる竹富町は、集落のほとんどが海に面している。西表島では高台へ、標高の低い黒島や竹富島では学校校舎への避難を検討する。避難タワー建設計画もあるが、町一帯が国立公園に指定され、景観を重視する施策との兼ね合いも課題だ。

 宮古島市では、2カ所の津波避難施設が本年度中に完成予定。市内約100カ所の避難所への看板を設置したり、一つしかない自主防災組織を増やしたりする考えだ。

 久米島町は現在、避難が難しい高齢者らの数と所在を調べている。すでに公表された被害想定に基づいた防災マップを配布しているが、今回の避難困難地域の詳細を把握して、避難経路などを検討する。

 本島では、最大規模の津波避難困難地域を抱える南城市。担当者は「海抜の低い場所では、高い建物への避難協定締結を検討する必要がある」と話す。今後、津波避難困難地域を抱える自治会への説明や最短避難コースの設定を検討する。