衝撃的な数字だが、むやみに恐れることなく、備えにこそ万全を期したい。

 県は2011年の東日本大震災後に見直しを進めてきた「県地震被害想定調査報告書」をまとめ、発表した。

 沖縄本島東方沖、同南東沖、八重山諸島南東沖で同時に発生する海溝型の3連動地震を想定。地震はマグニチュード(M)9・0の最大規模となり、津波は最大で30メートルを超える。津波による被害に絞っても、死者は1万1109人と推計している。負傷者は10万5025人、建物の全壊も3万5308棟に達する。

 沖縄本島南部断層系による地震など21パターンを想定し被害状況を整理した。3連動地震はその中の一つ。

 島嶼(とうしょ)県にあっては、巨大津波が発生すれば、小さな島々は全体が浸水するケースが考えられる。この報告書が示す「最悪の事態」を想定しながら、被害を最小限に抑える減災に向けて、建物の耐震化や避難ビル、安全な場所に至るルートの確保など、行政はもちろんだが、私たち一人一人が地震・津波に対する意識を高める必要がある。

 大災害時には、自分の身は自分で守る「自助」の精神を最優先しなければならない。東日本大震災で「津波てんでんこ」の教えを実行し、ほとんどの児童・生徒が生き残ることができた「釜石の奇跡」が思い出される。

 「自助」に加え、共に支え合う「共助」、行政の「公助」が伴えば、いざというときに最大の力を発揮することになろう。それには日頃から連携した取り組みが重要だ。

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 県は今回初めて「津波避難困難地域図」を作成した。高齢者ら「災害弱者」が津波の到達予想時間までに安全な場所への避難が困難とされる地域を設定したものだ。

 災害弱者らを基準にしており、設定地域内の全ての住民が該当するわけではない。近くに避難ビルがある地域などは除いている。それでも21市町村の117カ所に上る。

 困難地域面積が最大の石垣市の取り組みは参考になりそうだ。自らの手で地域を守る「共助」の担い手となる自主防災組織が26団体結成されている。日常的に安全点検や防災訓練を心掛けている。

 市が改訂した防災マップは106ページ。家族が離れ離れになったときの集合場所などを記入する防災メモ、避難場所の一覧のほか、津波浸水予測を6段階に色分け、一軒一軒の住宅を記載している。一目で自宅の危険度がわかる。

 このマップを手元に置きながら家族で避難方法の確認など習慣化したいものだ。

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 1771年4月に八重山、宮古諸島を襲った「明和の大津波」を想起するまでもなく、沖縄も巨大地震や巨大津波と決して無縁ではない。

 最近の研究では沖縄本島周辺で、地層の堆積物の分析からM8を超える巨大地震による大津波が発生していた可能性が指摘されている。

 東日本大震災後は、もはや「想定外」は許されない。各市町村は、県の報告書を基に、地域の実情を踏まえた防災や津波避難計画の策定・見直しを急いでもらいたい。