新年度の入学者から所得制限を設けている公立高校の授業料免除で、さまざまな課題が出ている。これまでは所得に関係なく無償だったが、世帯年収910万円以上の家庭は授業料の支払いが復活。「払う人」「払わない人」がはっきりしたため、生徒への悪影響を懸念する声が上がっている。提出書類の不備で免除を受けられず、支払わねばならなくなった生徒も出ている。(嘉数よしの)

 県教育庁によると、県内の支払い対象者はおよそ1300人。全体の1割に満たず、県内では免除を受けられる生徒が圧倒的に多い。

 月額9900円(全日制)の授業料を支払う生徒は、現金払いか銀行振り込みで納入することになっているが、現金の場合、学校の事務室でやりとりすることに。ある高校の事務職員は「ほかの生徒に分からないよう、慎重に納付封筒を渡したりしているが、どうしてもばれてしまう」と吐露。「払う生徒が嫌な思いをしている上、『格差』があからさまになっている。授業料の無償化を再開してほしいが、せめて早急にコンビニ支払いや銀行口座からの自動引き落としを確立して、生徒に悪影響が出ないようにしてほしい」と要望する。

 また、申請には世帯年収の確認が必要。保護者の市町村民税所得割額を証明するため、市町村発行の課税証明書などの提出が求められた。所得が明らかになることから、40代の母親は「プライベートな情報を学校に知られるのは抵抗がある。他に漏れないよう、十分配慮してほしい」と打ち明ける。

 本島中部の高校の事務職員は、併せて提出する家庭の事情を記す「受給資格認定申請書」の問題を指摘。ひとり親や祖父母らと暮らす生徒は「(離婚や死別などの)理由を書くのをためらう人が少なくなかった。心苦しかった」と話す。

 免除を受けるには、7月にもう一度、手続きをしなければならない。4月の申請に間に合う所得割額の書類は一昨年度のもので、7月に再度、前年度のものを提出する必要があるためだ。中部の高校の事務職員は「作業が煩雑で、保護者も職員も大変。申請漏れで不利益を被る生徒が出ないようにしたい」と気を引き締める。

 [ことば]公立高校の授業料免除 民主党政権が2010年に全ての公立高校生の授業料を免除する制度を導入したが、政権交代後の13年に所得制限を設ける改正高校無償化法が成立。14年4月入学生から年収910万円以上の世帯で授業料の支払いが復活した。在学生は卒業まで旧制度の支援を受けられる。新制度の名称は「高等学校等就学支援金制度」。