【うるま】戦前、本島北部と中南部を結んでいた沖縄特有の木造船「マーラン船」が、うるま市の船大工・越来治喜さんとその弟子らにより2日までに復元された。マーラン船は、県内では通称「山原(やんばる)船」と呼ばれ、材木や炭、黒糖などの生活資材を運んでいた。エンジンを使わず風力だけで進むマーラン船の復元は、戦後初という。実際に乗ることができ、今後は乗船体験を実施し、小中学校の総合教育などに役立てていく予定だ。(松田麗香)

船大工の越来治喜さんによって復元されたマーラン船。風力だけで進む船の復元は初めてという=うるま市・平安座南港

 造船が盛んだった平安座島では、最盛期の大正末期から昭和初期にかけ常時100隻以上が運航していた。マーランは中国語で「船」の意味で、平安座島で定着した呼び名。

 マーラン船の造船技術を次世代に継承し沖縄の歴史文化を伝えようと、一括交付金を利用し、市の事業で約3千万円をかけ実現した。

 現在、マーラン船を造れるのは、市の無形民俗文化財に指定されている船大工の越来さんだけ。完成したのはマーラン船の中では小型の全長10メートルで、越来さんと弟子の3人で半年かけ制作した。

 中学生のころ、マーラン船で名護まで木材を取りに行ったことがあるという平安座老人会の名護郁雄会長(75)は「名護までの2~3時間、船の中で塩水で洗った米を炊いて食べていたのを思い出した」と懐かしがっていた。

 うるま市教育委員会の前田一舟学芸員は「帆の力だけで走る船の復元は戦後、初めて。独自の技術が活用されていたということを子どもたちが学ぶ上でとても貴重。後継者の育成にもつながってほしい」と話した。