11月に予定される県知事選に向けた動きが具体的になり始めている。従来の保守・革新の対決という構図が大きく変わる可能性が出てきた。

 那覇市議会与党会派の自由民主党新風会が、翁長雄志那覇市長(63)に5日、出馬を要請する。9月をめどに受諾する可能性が高い。

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に反対する保守層が、知事選に向けて具体的に動くのはこれが初めてだ。新風会は、6日の市議会代表質問でも出馬の意思を確認する方針である。

 翁長氏は、日米両政府が進める辺野古移設に反対の姿勢を堅持している。

 昨年1月、県議会各会派、全41市町村長・議会代表らが署名押印し、安倍晋三首相に「建白書」を提出した東京要請行動。「オール沖縄」の結束を呼び掛けた翁長氏には、保革を超えて根強い待望論がある。

 新風会の動きを受けて、自民党県連は、緊急役員会を開き「県連方針に反する」として、要請しないよう文書で求めた。新風会は1月の市議会臨時会で、仲井真弘多知事の埋め立て承認に抗議する意見書に賛成し、3月に県連から処分を受けたこともあり、市議団と県連の対立がより鮮明となった。

 仮に翁長氏が「辺野古移設反対」の主張を掲げて立候補した場合、県内保守陣営や経済界は前代未聞の「分裂選挙」を強いられることになり、沖縄の今後の政治動向に極めて大きな影響を与えることになるだろう。

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 一方、任期満了を控えた仲井真知事は、いまだに自らの去就を明らかにしていない。

 仲井真氏は先月の記者会見で、知事選への対応はまだ決めていないとした上で「9月では遅いかな」と述べ、県議会6月定例会で表明する考えを示した。3期目に前向きともとれる発言である。

 自民党県連は、知事選に向けた方向性を6月定例会の会期中をめどに決定する方針だ。ただ、仲井真氏に3選出馬を要請するか、別の候補者を擁立するかは、まだ決めていない。

 社民、共産、社大、生活、県民ネットの県政野党5団体でつくる選考委員会は、翁長氏と琉球大学法科大学院教授の高良鉄美氏(60)の2氏を軸に最終的な候補者の絞り込みに入っている。

 いまのところ、どの陣営の候補者選びも不確定要素が多く、他陣営の動きを横目でにらみながらの候補者選びが続いている。

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 1月の名護市長選で、辺野古移設に反対する稲嶺進氏が再選され、市民の民意が示された。にもかかわらず、国は市の意向にお構いなしで移設作業を進めている。辺野古への代替施設建設に向け、7月にも海底ボーリング調査を開始し、知事選前の本体工事の着工を検討するなど、既成事実化が進む。

 昨年12月に仲井真知事が埋め立てを承認した後の知事選である。辺野古移設問題に関しては、承認そのものの是非と、地元を無視した国の強硬な手法の二つが大きな争点である。