県内で初めて「脱法ドラッグ工場」が摘発された。マンションの一室が使われ、全国に発送していたようだ。

 九州厚生局沖縄麻薬取締支所と県警は、中国から指定薬物を輸入したとして県内在住の自称ハーブ店経営の男(32)ら4人を薬事法違反(指定薬物輸入)の疑いで逮捕、送検した。4人は「輸入したが、指定薬物とは知らなかった」「関与していない」などと容疑を否認している。

 4人は3月まで那覇市内で営業していた脱法ドラッグ店の関係者という。規制が厳しくなったため店をたたみ、同市内のマンション2カ所に部屋を借りた。脱法ドラッグを製造したり、全国発送したりする拠点にしていたと同支所はみている。

 直接の逮捕容疑は、4月30日から5月1日にかけて覚せい剤に似た作用がある指定薬物約2キロを国際郵便物に隠して、中国から関西国際空港経由で那覇市内のマンションに宛てて送った疑い。3人は逮捕される際、製造作業をしているさなかだったという。

 家宅捜索では脱法ドラッグとみられる10キロ以上の植物片や粉末、原料の指定薬物や製造道具などを多数押収した。

 東京、大阪、名古屋、福岡など大都市を中心に30カ所余りに卸していたことをうかがわせる伝票も押収され、少なくとも数千万円を売り上げていたとみている。

 調達先の中国とはどうつながっているのか。卸先の業者も薬事法違反の疑いがある。県内でも売りさばいていたのか。流通経路を含め、事件の全容解明を急いでもらいたい。

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 那覇市おもろまちで2012年、脱法ドラッグを吸引した男の乗用車が10台の車両を巻き込み、4人に重軽傷を負わせた事故は記憶に新しい。

 県内で脱法ドラッグの販売が疑われる店舗は同年の24店舗をピークに、現在は4店舗しか確認されていない。

 脱法ドラッグが原因と疑われる救急搬送も同年は40人に上ったが、その後は減少傾向を示している。

 県内における脱法ドラッグは表面上、沈静化しているようにみえるだけなのか。今回、工場が摘発されたことを考えれば、潜行していることが懸念される。容疑者らも閉店後に、マンションで製造に乗り出しているからだ。

 ネットを利用すれば相対しなくても売買できる。県もネットで販売している業者については把握しておらず、ネットによるデリバリー(宅配)が行われているのか、実態はつかめていない。

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 薬物に1度手を染めると、抜け出ることは困難を極める。死に至ることもあり、本人はもちろん、家族や周囲を深刻なトラブルに巻き込む。

 県教育庁が数年前に県内の県立高校生と公立中学生を対象に実施したアンケートで、薬物使用に誘われた高校生が1821人、中学生は131人いて、衝撃を与えた。

 脱法ドラッグは、薬物使用の入り口となる「ゲートウエードラッグ」ともいわれる。家庭で早い時期から、学校では関係機関と連携を取りながら、薬物の危険性や違法性について指導する必要がある。