沖縄タイムス社と福島民報社は、2月から5月まで合同企画「二つの故郷 国策のはざまで」に取り組んだ。計50回の連載を通じ、基地や原発と隣り合わせの生活を肌で知る地域住民の思いを、なるべく丹念に紹介してきた。

 印象深いのは、福島県内で原発設備メンテナンス会社会長を務める名嘉幸照さんの言葉だ。「自分は安全神話を信じて国のエネルギー政策とともに生きてきた。その結果、愛する地域を壊してしまったんだよ」。当事者としての悔恨の情が痛切に響く。

 伊是名村出身の名嘉さんは普天間問題にも厳しい目を向けている。名護市辺野古移設を推進する政府の姿勢を「当事者の声を切り捨てて、真の民主主義の国といえるのか」と批判した。

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故に伴い、福島には今なお13万人近くの避難者がいる。福島県内の市町村が「震災関連死」と認定した死者数は昨年12月、1600人を超え、地震や津波による直接死を上回った。

 こうした中、「福島に蔓延(まんえん)するタカリ体質」といった見出しを付け、原発事故関連の予算や賠償を「利権」と表するメディアも出ている。

 沖縄の人を「ゆすりとたかりの名人」と侮蔑し、米国務省日本部長を更迭されたのはケビン・メア氏だ。メア氏は今も、保守派の論客として国内の大手メディアにたびたび登場している。

 外部からは見えにくい沖縄や福島の「痛み」は、何によってもたらされているのか。根源を探る必要がある。

    ■    ■

 国策の失態が招いた原発事故の被害から福島を再生するのは国の責務だ。が、基地や原発を抱える地域に、国が手厚い「代償」を施す現行システムには落とし穴もある。

 長年にわたって交付金などを受け取るうち、国や電力会社頼みの地域振興の呪縛から抜け出せない地域や人も出てくる。その結果、特定地域に集中した原発に全国の関心が向かず、安全対策や放射性廃棄物の処理など本質的課題が置き去りにされてきた。

 沖縄に集中する米軍基地についても、戦時接収と戦後の米軍統治下で強権的に形成、拡張された内実に目を向けず、メア氏の発言に連なる差別や偏見が全国で醸成される傾向にあるのではないか。

 低成長時代に入り、利益分配をめぐる地域間競争は激しさを増す一方だ。限られたパイの奪い合いに終始するのではなく、国策の不条理への共通認識を深める必要がある。

    ■    ■

 両紙は今回、沖縄と福島の全市町村長を対象に、国策や地方の権限に関する共通アンケートを初めて実施した。

 原発を「重要なベースロード電源」と位置付ける国のエネルギー基本計画について、「評価する」との回答は沖縄でゼロだった。原発への警戒感は沖縄の自治体にも着実に浸透している。地域の壁を越え、問題意識を共有できる可能性を示したともいえる。

 一方、辺野古移設に関しては「進めるべきではない」と回答した沖縄の首長は53%だった。秋の知事選に向け、沖縄の主体性が問われている。