じめじめした梅雨の長雨が終わると、一転、かんかん照りの真夏日が続く。6月-沖縄にとってこの月は「鎮魂の季節」でもある。

 23日の慰霊の日に合わせて県内各地で、戦没者を追悼する行事が続く。そのピークが慰霊の日の23日、糸満市摩文仁の平和祈念公園で開かれる沖縄全戦没者追悼式である。今年は仲井真弘多知事の「平和宣言」が例年になく注目を集めそうだ。

 県知事による平和宣言は、沖縄戦で亡くなった人たちの33回忌に当たる1977年から始まった。知事の平和宣言は、単なるお題目ではない。沖縄戦という未曽有の悲劇を体験した沖縄の平和宣言には、何よりも平和を希求する県民の切実な思いが盛り込まれていなければならない。

 昨年、2013年の平和宣言で仲井真知事は、県民世論を代弁する形でこう述べている。

 「沖縄は、今もなお、米軍基地の過重な負担を強いられています。日米両政府に対して、一日も早い普天間飛行場の県外移設、そして、日米地位協定の抜本的な見直しなどを強く求めます」

 沖縄全戦没者追悼式という戦場の記憶を呼び覚ます公式の場で、多くの参列者を前に、あらためて県外移設を主張したのである。

 仲井真知事が、米軍普天間飛行場の代替施設建設のため辺野古沿岸部の埋め立てを承認したのは、その年の12月のことだ。埋め立て承認後初めて迎える慰霊の日で、仲井真知事はどのような内容の平和宣言を発するのだろうか。

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 仲井真知事の埋め立て承認に対し、県議会は1月、「公約違反に抗議し、辞任を求める決議」を賛成多数で可決した。これに対し、仲井真知事は談話を発表し、県外移設を求める考えは変わっておらず、何ら公約に違反するものではない、と反論した。

 普天間飛行場の5年以内の運用停止に取り組むことと埋め立て承認は、並行して存在し得る、と知事は主張する。

理屈にならない理屈というしかない。県外移設とは辺野古に造らせないということではないのか。

 公約を変えていないと主張するのであれば、昨年通り「県外移設を求める」との文言を盛り込むのが筋であるが、現に辺野古では埋め立てに向けた作業が、反対派の強制排除を前提に、地元名護市の声を無視して強引に進められているのである。このような状況で「県外移設」の平和宣言を発すれば、全戦没者追悼式自体が台なしになるだろう。

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 県外移設うんぬんの文言を削除することも考えられるが、その場合、県外移設の公約は変えていないと言いながら肝心な表現を削除した、との批判は避けられないだろう。自己正当化を図るためのこじつけのような理屈では県民は納得しない。

 歴代の沖縄県知事は、二度とこの地に戦争をあらしめてはならないという平和への切実な思いを平和宣言に込めてきた。安倍政権の軍備増強路線と辺野古埋め立て作業が進む中で、世界に向かって何を発信するのか、注目したい。