【東京】自民党は太平洋戦争で亡くなった戦没者の遺骨収集を加速させるため、遺骨収集を「国の責務」と明記した新法案を今秋の臨時国会に提出する方針を固めた。戦後70年となる2015年度からの10年間を収集の「集中実施期間」に位置付け、担当大臣の創設も盛り込んだ。しかし、必要性の声が強いDNA鑑定の積極的な実施には踏み込んでいない。(大野亨恭)

 党の戦没者遺骨帰還に関する特命委員会委員長の水落敏栄参院議員が本紙の取材で明らかにした。22日までの今国会中にも党内手続きを終え、他党との調整に入る。ただ、政権が最重要課題と位置付ける集団的自衛権行使の是非をめぐる審議などもあり、法案がスケジュール通りに運ぶかは不透明だ。遺骨収集は1952年の「遺骨送還に関する閣議了解」に基づき実施されており、根拠法がないことが収容が進まない要因とされている。

 法案では厚生労働省に加え、外国政府との調整や不発弾問題をクリアするため外務、防衛両省に積極的な関与を義務付ける。予算増のほか、収集の加速化を確実なものにするため、政府に遺骨収集のプロセスを盛り込んだ基本計画を閣議決定するよう求める。

 一方、遺骨のDNA鑑定については「膨大な遺骨から肉親を捜すのは困難」と指摘。現在、厚労省が掲げる、遺骨とその身元が分かるような遺品がセットで見つからなければ鑑定対象にならない-などの鑑定条件の緩和は求めない方針だ。

 議院運営委員会の理事も務める水落氏は「最優先で取り組み、秋の臨時国会で必ず提出する」と強調する。

 遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松代表は「国の責任を明記したのは前進」と評価する一方、「お骨を遺族の元へ返すことが戦争を始めた国のけじめ。希望する遺族にはDNA鑑定を実施すべきだ」と指摘した。

 厚労省によると、未収容の遺骨は国内外に112万9千柱残り、県の統計では県内にはいまだ約3200柱が眠っている。