観光客に対する地震や津波への備えは十分なのか-。全国に先駆け、沖縄県は年内の策定を目指す「観光危機管理基本計画」に向け、3年にわたり観光業者や市町村にアンケートした。災害時のマニュアル作りは進んだ一方、情報伝達の方法や備蓄量の不足、外国人への対応の遅れが目立つ。(矢島大輔、新里健)

沖縄県のアンケートから「観光客への災害状況などの伝達方法」など

 アンケートは東日本大震災を受け、県が2011~13年度に「観光危機管理モデル事業」として実施した。サンプル数は年によって異なり、観光業者は123~155、市町村と観光協会などが28~38で、郵送による任意回答。

 災害時のマニュアルがある観光業者のうち、災害別に回答割合を3年分比べると、地震50↓51↓57%、津波33↓32↓45%と増加。台風や火災時のマニュアルしかなかった現状に改善が見られた。

 一方、観光客に災害状況などの情報を伝える方法が「決まっている」と回答した業者は25↓23%(11年度は設問なし)、観光客の避難者に配分できる備蓄について「十分な量がある」との回答は8↓0↓4%、外国人の避難誘導について「できる」の回答が12↓8↓8%と低い数字を示し、課題が浮かび上がった。

 県は今月、沖縄を過去に訪れた観光客向けの防災アンケートを実施する。担当者は「観光中の防災意識や、被災時にどこから情報を得るのか把握したい」と話している。

■座間味、外国人客も想定 市町村は意識高まる

 アンケートでは、「危機管理計画・マニュアルは誰の安全を図るためか」という問いに対し、住民に加えて「旅行者や観光客」と答えた市町村が35%(2011年度)から73%(13年度)に倍増した。災害時の対応で、観光客を考慮する必要があるという意識が高まりつつある。

 沖縄タイムスが人口に比べて多くの観光客が訪れる8市町村を取材したところ、防災計画や行動マニュアルに、観光客向けの対応を要支援者とは別に章立てしているのは、宮古島市と久米島町、恩納村、渡嘉敷村、座間味村の5市町村に上った。標識や誘導体制、避難場所、帰宅支援の整備などを記している。

 中でも、座間味村が昨年作ったマニュアルは30ページに及ぶ。外国人客を想定し、避難指示を伝える日本語の易しい定型文をはじめ、英語、中国語、韓国語の対応文例も載せている。

 石垣市と本部町、竹富町は現在、観光客を要支援者に含めて運用しているが、本部町は「本年度に改定する新計画に観光客への対応を盛り込む」、竹富町は「観光客の安全確保に関するマニュアルを現在作成中」、石垣市は「15年度以降に作る予定」と、今後は観光客に特化した対策を講じる方針だ。

■手引き作り 訓練が必要

 琉球大の下地芳郎教授(観光学)は「沖縄には1日6万~7万人の観光客が滞在する。観光客が占める割合が高い県なので、住民と同じように強く意識して防災を考えないといけない。観光に特化したきめ細かいマニュアルを作成し、訓練を積み重ねていく必要がある」と話す。