ブラジルのみなさん、聞こえますか-。日本時間の13日未明に開幕するサッカーW杯ブラジル大会。沖縄の女性たちがそれぞれの思いを胸に、サンバのリズムで、地球の裏側に声援を送っている。(矢島大輔)

サッカーW杯ブラジル大会の応援グッズを身につけサンバを踊る宮城佳代子さん(右上)、弥生さん(左下)ら=10日、那覇市の宮城サンバダンス教室

ブラジル雑貨店の前で、W杯の公認応援楽器「カシローラ」を右手で振る翁長巳酉さん。サンバの打楽器奏者でもある=10日、那覇市の平和通り

サッカーW杯ブラジル大会の応援グッズを身につけサンバを踊る宮城佳代子さん(右上)、弥生さん(左下)ら=10日、那覇市の宮城サンバダンス教室 ブラジル雑貨店の前で、W杯の公認応援楽器「カシローラ」を右手で振る翁長巳酉さん。サンバの打楽器奏者でもある=10日、那覇市の平和通り

■ブラジルに感謝込め 宮城佳代子・弥生さん

 「トゥー、チャッチャッ、トゥッ、チャッチャッ」

 10日夜、那覇市のスナックを改装したフロア。軽快なテンポで、カラフルな衣装の20~30代の女性8人が激しく腰を振りながら、小刻みなステップを踏んでいた。

 「ネイマールのゴールを決めた後のパフォーマンスはサンバなんです」。宮城佳代子さん(34)は大会注目のブラジル代表選手の名を挙げ、それをまねた踊りを披露した。妹の弥生さん(33)とサンバ教室を営む。

 「サンバ姉妹」と呼ばれる2人は那覇市出身。佳代子さんが2008年、ダイエット目的でサンバを始め、のめり込んだ。翌年に弥生さんを誘い、猛練習を重ねた。

 転機は12年、初めてブラジルのサンバカーニバルで踊ったとき。「生きる喜びを爆発させていた。このエネルギーを沖縄で広めたいと思った」

 会社を退職し、県内各地でサンバを教えている。毎年、ブラジルのカーニバルにも足を運ぶ。地球を半周する距離を越え「陽気で親切な人柄、日ごろからカチャーシーで踊る沖縄に似ている」と思う。伝統の花笠と紅型をモチーフにしたサンバ衣装も作った。

 サンバダンサーの道は厳しい。露出の多いイメージが敬遠され、むげにイベント出演を断られる。いつものくせで厚化粧や派手な私服を選んでしまい、婚活がうまくいかない。それでも踊ると気持ちが前を向く。

 W杯は日本とブラジルの試合、両方をテレビ観戦する。応援と、感謝の意味を込め、サンバを踊りながら。

■移民と出会い知った絆 打楽器奏者・翁長巳酉さん

 「ブラジルに行ったことで、沖縄のことを深く考えるようになりました」

 サンバの打楽器奏者で、那覇市の平和通りでブラジル雑貨店を営む翁長巳酉(みどり)さん(53)は言う。

 那覇市出身。1990年から12年間、ブラジルで暮らし、名門サンバチームで活躍した。打楽器を学ぶためだったが、見えてきたのは沖縄とのつながりの深さだった。

 戦後、米軍による土地の強制接収で、ブラジルに移民した伊佐浜の人たちと会った。テニアンと沖縄で二度の戦争に巻き込まれ、戦後にブラジルに移民してきた男性とも知り合った。

 一方、沖縄そばがブラジルで大流行し、文化遺産になっている事実に驚いた。沖縄県系の人口は18万人以上で、世界で最も多い国だ。

 帰国後、翁長さんの活動は多岐にわたる。移民の証言を映像に残し、ガイド役として国内外の観光客に伝えている。「全部ブラジルがきっかけです」

 翁長さんはW杯の公認応援楽器「カシローラ」をリズム良く振ると、平和通りに音が響き渡った。

 シャカ、シャカ、シャカ。

■宮城姉妹と翁長さん、7月コンサート

 宮城姉妹と翁長さんが出演する「ブラジルサンバダンスコンサート」がW杯期間中の7月6日、那覇市の県男女共同参画センター「てぃるる」で開かれる。問い合わせは宮城サンバダンス教室、電話070(5497)3438。

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