【西原】五穀豊穣(ほうじょう)や家内安全、集落の繁栄を祈る5月ウマチー(旧暦5月15日)に向け、棚原ノロ殿内(どぅんち)で10日、神酒(ウンサク)づくりがあった。10人が約6時間かけ、米13キロ分を大鍋に仕込んだ。2日後の12日にミルクガナシーなどに祈りをささげ、出来上がった酒を12門中で分け合った。

糸バショウの葉で冷ましたアチビーをこねる城間盛順区長(右から2人目)ら=10日、西原町の棚原ノロ殿内

 神酒づくりは、米どころだった棚原で数百年続くという伝統行事。5月ウマチー(穂花(フーバ)のウマチー)には豊作を願い、6月ウマチーには収穫した新米を使ってあらためてつくる。

 笹倉絹代さん(42)は、シンメーナービのアチビー(柔らかいご飯)を味見して「7分粥(がゆ)でも8分粥でもない。アチビーはアチビーなのよ」と絶妙の炊きあがりに太鼓判。城間盛和さん(57)は「よーんなーよーんなー」と城間良作さん(79)に声を掛けられながら、糸バショウの上にアチビーを広げた。

 アチビーが冷えると、石臼でひいた米粉と薄力粉を混ぜて菌床を作り、たらいでかくはん。城間盛順区長(62)は「あんし、指の運動上等さ」と餅のような感触を楽しんだ。

 その後は大鍋に移し、糸バショウを乗せてブルーシートで梱包(こんぽう)。棚原地区に戻ってきて10年以上になるという城間明さん(64)が殿内近くに生えていた草で魔よけのサンを作り、鍋に添えた。

 伊波盛英さん(65)は「棚原には棚原コージャーという種類の米があって、琉球王府に納めていた時代もあるんだよ」。小学生のころから神酒をもらって飲んでいたという比嘉猛さん(58)は「あのころはいまいちの味と思ったんだけど、今はね…」と笑い、ほの甘い米の香りを吸い込んだ。