憲法改正の手続きを定める改正国民投票法が13日、与野党8党の賛成多数により可決、成立した。今月中に公布、施行される見通しで、安倍晋三首相は2017年に初の国民投票を実施する日程を思い描いているという。

 改正法は、国民投票のできる投票年齢を「20歳以上」とし、施行4年後に「18歳以上」へ引き下げることを明記した。 

 07年5月に成立した国民投票法は、付則で、3年後の法律施行までに公選法の選挙権年齢と民法の成人年齢を「18歳以上」に引き下げるよう求めていた。だが、手つかずのまま10年5月に施行され、今回の法改正でも選挙権年齢の引き下げなどは先送りされた。

 生煮えの中途半端な改正法を、なぜ十分な議論もないまま急いで成立させなければならないのか。改正国民投票法が成立したのだから安倍首相は、集団的自衛権に関する憲法解釈を閣議決定で変更するのではなく、堂々と憲法改正を主張すべきではないのか。

 安倍首相は以前、国会の改憲発議要件を「3分の2以上」から「過半数」に引き下げる憲法96条先行改正論をしきりに主張した。「国民から国民投票の機会を奪うな」という論理で。その当人が国民投票を伴わない解釈改憲に血眼になっているのである。ご都合主義というほかない。

 改正法は、投票率が一定以上でなければ不成立となる最低投票率制度を設けていない。個別条項ごとに国民投票にかけるのか、一括して問うのかも明示されていない。

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 沖縄にとっては、別の側面も見逃せない。

 戦後、沖縄県民の選挙権が停止され、日本国憲法を制定する際も、サンフランシスコ講和条約を批准する際も、沖縄県民は、選挙で選ばれた代表を通して国会で自らの意思を明らかにすることができなかった。沖縄不在で憲法が制定され、沖縄不在で沖縄の米軍統治が決まったのだ。

 復帰によって沖縄にも憲法が適用されたが、それで「本土並み」が実現したと考えるのは誤りである。

 施政権の返還と引き換えに米軍は、基地の自由使用という果実を得た。地位協定に基づく基地の排他的な管理権は、沖縄では、実質的に憲法よりも上位にある、というべきだろう。

 沖縄の人々は今もなお、安保・地位協定優位の政治構造の下に置かれている。憲法や国内法が米軍絡みの話になると作動せず、自治体や住民は、憲法・国内法で保障された権利を行使することのできない状態に置かれる。

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 集団的自衛権の行使容認。憲法改正と国民投票-「国のかたち」を根本から変えようとする動きが、自民1強体制の下で、具体的な政治日程にのぼってきた。

 沖縄にとっては、憲法改正よりも、米軍基地の沖縄一極集中と安保・地位協定優位の構造を是正することのほうがより切実だ。

 国民投票の意味を、沖縄から、沖縄の視座から、歴史経験を踏まえて、問い直していく必要がある。