英語で不安を意味する「anxiety」の語源は、「首を絞められ苦しくなった時に感じる不安」だという。転じて、先がどうなるか分からない、見えない事象に対する息苦しさの意味でも使われる

▼見渡せば、不安の種に事欠かない国内外情勢である。心穏やかになれない人も多かろう

▼国内では、議論の場が狭まっていることである。現政権になってから、四方から壁が迫るように、息苦しさが増している気がする

▼東京で、平和をテーマにした集会の会場が急きょ変更された。1カ月前に使用を許可していた大学が翻意した。大学で5月末に歴史問題の講演会があった際、街宣車が周辺を回り、講義にも支障が出たという。翻意した背景とされる

▼自治体が護憲にまつわる行事への後援や会場使用を拒むケースも相次いだ。改憲志向の政権と支持者の意向を過度に忖度(そんたく)し、面倒に巻き込まれたくないという心理も透ける。自由な発言、研究が保証されるべき大学にも広がったのでは、ますます息詰まる

▼立憲主義には、統治権力の制約とともに、多様な価値・世界観を前提にその公平な共存を実現するとの意味もある。無数の犠牲の上に築いた考えである。立場は違(たが)えても議論、異論を交わさなければ、社会は強く豊かにならない。一方的な不安の壁は取り払われるべきである。(宮城栄作)