幼い子を持つ父母を震撼(しんかん)させたベビーシッター事件は、3カ月たっても記憶が生々しい。預けた2歳の男児は遺体で見つかり、9カ月の弟は低体温症になった

 ▼逮捕時、世話はできないのにシッターを続ける男の行動が不可解だった。その後、別の男女児13人の裸の写真を撮影しパソコンなどに保存した疑いで再逮捕され、憤怒が倍増した。持っていた写真は30人余分、250枚以上に上る

 ▼昨日、子どものわいせつな写真や映像を「単純所持」する個人を取り締まる改正児童買春・ポルノ禁止法が成立した。日本は長年、先進国から「児童ポルノ天国」と批判されており、遅きに失した

 ▼性的に搾取される子どもの状況は年々、深刻化している。児童ポルノの昨年の摘発は1644件と過去最多。被害者646人のうち1割強は小学生以下で、多くが強姦(ごうかん)や強制わいせつに遭っているというからあまりに痛ましい

 ▼中高生を含む10代や20代の若者の間では、リベンジ(復讐(ふくしゅう))ポルノ問題も顕在化する。元恋人や元配偶者の裸の写真などを、別れた腹いせにネットに流出させるものだ

 ▼簡単にコピーし拡散させられ、完全な削除が難しいネット上の被害は、その後の人生を破壊しかねないほど甚大だ。保護が必要な子どもやリスクに未熟な若者を守るための手だてが十分すぎることはない。(与那嶺一枝)