ベトナム戦争や沖縄を撮り続ける県出身のカメラマン・石川文洋さん(76)のこれまでを振り返るドキュメンタリー映画「石川文洋を旅する」が21日から、東京と那覇市で上映される。ベトナム戦争の従軍取材から50年の節目に、映画監督の大宮浩一さん(東京)が撮影した。石川さんは「沖縄戦でもベトナム戦争でも軍隊は民間人を守らなかった。体験で分かったことを一人でも多くの人に伝えられれば」と願っている。(宮城栄作)

5月に東京であった写真展会場で映画について語る石川文洋さん=東京・銀座ニコンサロン

 1938年に那覇市で生まれ4歳で、千葉県に移住。沖縄戦は体験していないが、終戦時に学校で「君の故郷は玉砕した」と言われ、「大変なことになっている」と心配していた。57年に帰った沖縄は「基地の島」へと変わっていた。

 19歳でカメラマン助手となり、香港の会社から64年にベトナムに派遣された。従軍取材で見たのは、銃弾を受けた米兵、戦闘で傷ついた民間人、家族の死を悲しむ子供たち…。「沖縄戦もこんな地獄絵だったのだろう」と想像したという。

 石川さんの写真は、ベトナムで「殺されるベトナムの人たちの気持ちに寄り添った写真」と評される。「沖縄戦で破壊され、殺された古里の人たちと重なったからだと思う」と振り返った。

 映画では当時の写真を織り交ぜながら、戦争の傷跡が残るベトナムや、基地被害に苦しむ沖縄を訪ね、平和や命の尊さを訴える。自身の写真が常設展示されているホーチミン市戦争証跡博物館では、来館者に平和への思いを語りかける場面もある。

 「沖縄とベトナムの経験は私の人生の支え」と話す石川さん。これからも、二つの地を見つめ続ける。

 県内での上映は那覇市の桜坂劇場で。25、27日には上映後、石川さんが舞台あいさつする。