民意に反して移設を強行しようとする日米両政府の姿勢があからさまになった。代替施設建設のための事実上の「特措法」である。

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古沿岸部への移設問題で、日米両政府は20日の日米合同委員会で、常時立ち入りを禁止する制限水域を大幅に拡大することで合意した。国は7月にも海底ボーリング調査を始めることにしており、反対派による海上阻止行動の排除を狙ったものだ。

 キャンプ・シュワブ沖は基地使用条件などを取り決めた「5・15メモ」では、陸から50メートル以内の第1水域を常時立ち入り禁止としている。今回の合意でこれを最大2・3キロにまで広げた。水域は約561・8ヘクタールに及び、埋め立て予定地がすっぽり収まる。

 制限水域は「海の米軍基地」である。現場は漁民の操業だけでなくダイビングやエコツーリズムを楽しむことができるみんなの海である。一方的に常時立ち入り禁止にするのはとうてい納得できない。

 本来、立ち入りが禁止・制限できるのは陸上施設の保安や米軍が使用する場合だが、今回、代替施設建設のための保安-を盛り込んでいる。

 国は制限水域の境界線沿いに目印となるブイ(浮標)を設置する方針である。反対派が海上行動で制限水域内に入れば、刑事特別法を適用し、摘発する考えなのである。

 日米地位協定に基づく漁船操業制限法についても国は同じ範囲で漁業を禁止する手続きを進めている。米軍が水面を使用する場合に漁船の操業を禁止・制限することができるという法の趣旨を、ねじ曲げているというほかない。

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 そんな折も折、辺野古で移設反対の抗議行動を続けているヘリ基地反対協議会のテントで、展示していた写真パネルや看板が何者かによって壊された。子どもたちからの折り鶴、新聞記事や横断幕などが引きちぎられた。

 市民らが座り込みを始めた2004年以来、初めての出来事である。国のボーリング調査が目前のこの時期に、言論を暴力で封じ込めようとする卑劣な行為である。市民らがテントを引き揚げた19日夕から20日早朝のすきをついて実行されたとみられ、卑怯(ひきょう)極まりない。言論には言論で対抗すべきである。

 国が何が何でも辺野古に移設しようとする強権的な姿勢と、蛮行の背景が連動しているように思えてならない。

 だが、安次富浩共同代表の反対姿勢はいささかも揺るがない。私たちも民主主義を否定する暴力行為を許さない。

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 仲井真弘多知事が2期目の出馬に当たって県民と交わした「県外移設」の公約を破り、埋め立てを承認した罪は限りなく重い。1月の名護市長選では移設反対と推進で争点が鮮明となり、反対の稲嶺進市長が再選したにもかかわらず、国は知事の承認を盾に移設の手続きを進めている。

 県が初めて自前でつくった「沖縄21世紀ビジョン」の将来像の最初に「沖縄らしい自然と歴史、伝統、文化を大切にする島」が掲げられている。仲井真知事は自らつくったビジョンも裏切っている。