沖縄県の中頭退職教職員会は22日までに、元教員ら61人の戦前、戦中、戦後の体験をまとめた「手記」を発刊した。沖縄戦の戦渦に加え、旧満州や旧南洋群島で戦に巻き込まれた記憶、戦後の米軍の圧制などが記されている。同会は「平和教育に役立ててほしい」と、同書を県内の全小中学校に1冊ずつ贈った。

教職員ら61人の戦前、戦中、戦後の「手記」を編集した中頭退職教職員会の(左から)仲宗根副会長、玉那覇会長、石原和子さん=沖縄市・中頭教育会館

 同会は「教え子を再び戦場へ送りたくない」との思いから、結成40周年の2011年に証言集作りを始め、63~90歳の61人から手記が寄せられた。

 それぞれの記録には、悲惨な戦場の様子や皇民化教育の恐ろしさなどとともに、「メッセージ」や「覚悟」も記されている。山城清輝さん(90)は「政治の右傾化が進みつつある昨今、いつか来た道の入り口が見え隠れするような気がする」とつづる。「戦争につながる基地はそのまま。日米両政府は沖縄を解放せよ」「これ以上『国策』の犠牲にならぬよう、行動し続けなければならない」などの声もある。

 仲宗根寛勇副会長(73)は「体験者の思いを受け止め、(子どもたちに)自分なりに戦争や平和について考えてほしい」と願う。

 玉那覇トミ子会長(78)は「子どもたちが読みやすいよう工夫した」と説明。文字数は1人およそ1200字で、挿絵がふんだんに盛り込まれている。

 発刊の背景には「体験者が少なくなり、どう平和教育をしたらいいか分からない」という学校現場の戸惑いもあった。同会は「子どもたちと一緒にこの本を読んで、追体験してほしい」とアピール。学校に限らず、地域や家庭でも活用してほしい、と呼び掛ける。同書は一般販売されていないが、本島中部の市町村立図書館などにも寄贈された。

 問い合わせは沖教組中頭支部、電話098(937)7132。