女性の尊厳を傷つけるセクシュアルハラスメントのやじを飛ばした男性議員だけの問題ではないだろう。壇上に向かって投げつけられた暴力的なやじにたじろぐ女性議員と、やじに同調するかのように笑う男性議員ら。都議会の議場が映し出す醜悪な光景は、日本の土壌に、いまだに性差別が根強く残っていることを国際社会にさらけ出した。

 都議会の一般質問で塩村文夏都議(35)(みんなの党)が議場から「早く結婚すればいい」などとセクハラのやじを浴びせられた問題で、自民党の鈴木章浩都議(51)が名乗り出て、塩村氏に謝罪した。

 鈴木氏は自民党会派を離脱した。だが、離党でも議員辞職でもない。これで責任をとったといえるのだろうか。

 問題のやじは18日の本会議で、塩村氏が妊娠や出産に関する支援策を質問している最中に飛び出した。

 鈴木氏は当初から発言者ではないかと疑われていたが、報道陣の問いにも、自民党の聞き取り調査でも一貫して関与を否定していた。発言した議員は辞職すべきだとの考えも明らかにしていた。

 塩村氏のツイッターに反響が急速に広がり、自民党内からも批判が相次いだ。欧米メディアも女性差別が横行している日本の現状を伝えた。

 鈴木氏は5日後、一転して発言を認めた。塩村氏への謝罪後の記者会見で鈴木氏は「少子化や晩婚化の中で、早く結婚していただきたいという思いがあった」などと弁明した。どれだけの人が言葉通りに受け止めただろうか。この間「うそをついていた」ことも、あっさり打ち明けた。

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 2007年、第1次安倍内閣で厚生労働相を務めた柳沢伯夫氏が島根県松江市の集会で少子化問題に絡み、「(女性は)産む機械、装置の数は決まっているから、あとは一人頭で頑張ってもらうしかない」と発言したことを思い出す。男性側の意識がどれだけ変わったのだろうか。

 鈴木氏の謝罪に対し、塩村氏は「これで終わりというのとは少し違う」と語った。当然である。というのは、塩村氏に向けられたやじはまだあるからである。

 塩村氏が「侮辱を受けた」として地方自治法に基づき議長あてに提出した「処分要求書」(不受理)によると、「自分が早く結婚すればいいじゃないか」のほかに、「まずは、自分が産めよ」「子どもを産めないのか」「子どももいないのに」などの発言が男性都議の声であった、と主張しているからだ。

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 20年に東京オリンピック・パラリンピックが開かれる。世界の耳目が集まる「国際都市」で、しかも公人中の公人たる議員が集まる議場でのセクハラやじである。

 最大会派の自民党会派は幕引きを図りたい考えのようだが、これで終わりとするのであれば問題をうやむやにするだけである。都議会が自ら徹底究明に乗り出し、鈴木氏以外の議員も特定し厳正に処分することが議会としての見識を示すことになる。都議会がどう決着をつけるのか、国内外から厳しい視線が注がれているのを忘れてはならない。