【東京】政府は、太平洋戦争の戦没者の遺骨を海外から日本へ運ぶ際に、自衛隊の艦船を使用する方針を固めた。遺骨輸送に自衛隊が関わるのは初めて。厚生労働省と防衛省が計画を作成中で、今年9月に南太平洋・ソロモン諸島のガダルカナル島で輸送作業をする予定だ。集団的自衛権の行使容認にかじを切れば他国の戦争で自衛隊員に死者が出るとの懸念の声が上がる中での計画に、識者からは「将来的に戦場へ自衛隊を送ることを想定したものだ」と、軍国化の動きに懸念を示す。(大野亨恭)

 ガダルカナル島には海上自衛隊の練習艦隊が毎年実施している遠洋練習航海の途中で寄港する。9月19、20日の2日間停泊し、島内で集められた遺骨を艦船に載せ、日本へ帰国する予定だという。自衛隊が支援するのは輸送業務だけで、収集作業は厚労省が実施するという。

 自民党の戦没者遺骨帰還に関する特命委員会がまとめた遺骨収集に関する行動計画にも「航空機や船舶を有する政府機関は業務に支障のない限り輸送支援を行う」と明記。特命委は政府に同計画を閣議決定するよう求めており、自衛隊による遺骨の輸送支援が恒常的になるとみられる。

 特命委の事務局長を務める宇都隆史参院議員は自衛隊が関与する理由について、民間チャーター船に比べ輸送費用が低く遺骨収集の加速化が期待できると説明する。また、一般船舶の場合、「遺骨が貨物扱いになる」とし、「せっかく帰ったのに『お帰りなさい』との形も取れず切ない状況だ」と話した。

 この計画について沖縄国際大の石原昌家名誉教授は「戦場で自衛隊に戦死者が出ることを念頭に置いた動きだ。その先には戦死者を靖国神社に祭ることも想定しているのではないか」と指摘する。

 旧日本軍と自衛隊をめぐっては、県内では6月23日の慰霊の日に陸自が第32軍司令官を祭った塔を参拝することに、「旧軍の賛美だ」などの批判の声がある。沖縄平和ネットワークの川満昭広事務局長は「沖縄の遺骨収集にも水面下で自衛隊が関わっているのが実態。隊員が戦場で亡くなっても手厚く葬るという政治的なアピールだ」と批判した。