「官製ベア」といわれた春闘のころ、「政」にもの申さない「業(財界)」のふがいなさを書いた。ここにきて、日本経済団体連合会が企業が出す政治献金について、経団連の関与を復活する方向で検討に入ったというから、やはり奇異な感じを覚える

 ▼経済界が訴える政策の実現を目指すという。ここ数年、ぎくしゃくしてきた政権との関係を修復したいとの思惑もあろう。大企業や投資家が喜びそうな政策を打ち出す政権を前に、かつて「経済一流、政治は○流」と誇った立場は逆転してしまったか

 ▼経済再生には「政」と「業」の連携は不可欠である。だが、政治とカネの問題で癒着に厳しい批判が向けられた記憶は忘れてはいまい。連携に暮らしや働き手への心配りが見えなければ、何のための方針転換かと、政策への理解も広がらないだろう

 ▼経済界は法人減税や、「残業代ゼロ」の規制緩和も実現させる。一方、消費増税など課税強化が続く家計をみて、「企業だけか」と割り切れない人も少なくない

 ▼医療・介護はどうなる、財政赤字はどうする、どう夢をもって働ける…。簡単に答えが出ない難問は山積している

 ▼経団連の存在意義自体が問われる時代でもある。すり寄りではなく、まずは心配りの見える経済社会の大きな絵を描き、矜持(きょうじ)を示してほしいものである。(宮城栄作)