沖縄の高校野球を全国トップレベルに引き上げ、2007年5月に亡くなった名将、栽弘義さん=享年(65)=の生涯が映画化される。夏の甲子園で2年連続準優勝した沖縄水産の監督時代を中心に、破天荒な人物像や教え子たちとの秘話を描写。さらに栽さん自身の戦争体験などを通して、沖縄社会の戦後を浮き彫りにする。県出身キャストのオーディション、撮影などを経て、来夏の公開を目指している。

決勝で選手たちを励ます栽弘義監督(右)=1990年8月21日、甲子園球場

高校野球の名将、故栽弘義さんの生涯の映画化に取り組む松永多佳倫さん(右)と高山創一さん=沖縄タイムス社

決勝で選手たちを励ます栽弘義監督(右)=1990年8月21日、甲子園球場 高校野球の名将、故栽弘義さんの生涯の映画化に取り組む松永多佳倫さん(右)と高山創一さん=沖縄タイムス社

 原作は岐阜県出身のライター松永多佳倫さん(46)の著書「沖縄を変えた男 栽弘義-高校野球に捧げた生涯」(ベースボールマガジン社)。延べ約300人への周辺取材からは、時に賛否が分かれるスパルタ指導で、沖縄と本土の距離を縮めていった胆力が浮かび上がる。「豪放磊落(らいらく)な人で、沖縄を思い続ける信念があった」と松永さんは言う。

 一方、糸満市に生まれた栽さんは沖縄戦で3人の姉を失い、自らも4歳の時、おぶわれた母親の背中で手りゅう弾の火の粉を浴びて大やけどを負った。映画では、こうした戦争体験も踏まえながら、スポーツだけでなく、経済的にも発展した戦後沖縄の歩みを盛り込む。

 プロデューサーは県産ヒーロードラマ「ハルサーエイカー」を手掛ける高山創一さん(39)が務め、沖縄出身のキャスト、スタッフにこだわる予定だという。

 県産業振興公社の支援事業も活用しながら、年内のクランクインを目指す。高山さんは「沖縄らしいロケーションをふんだんに取り入れ、海外にもPRできる魅力的な作品に仕上げたい」と意気込む。